内容説明
笑いと風刺とペーソス。ケストナー博士の処方箋つき人生詩篇。使用法を読んで指示されたページをめくると、あなたの悩みはみごとに鎮静化する。真鍋博氏のウィットに富んだイラストを添えた、“使用法”付き詩の救急箱。
目次
汽車にたとえて
ホテルでの男声独唱
いくらでも悲しみなさい
堅信礼を受ける少年の写真のかたわらに
顔の中までは誰ものぞかない(健気な者への歌;小心な者への歌)
ガリ勉
墓地の老婆
感情のぶりかえし
とっさに帳尻を合わせる
これが人間の宿命〔ほか〕
著者等紹介
ケストナー,エーリヒ[ケストナー,エーリヒ] [K¨astner,Erich]
1899年、ドイツ・ドレスデン生まれ。ドイツ文壇の中心人物として、ナチ政権下には焚書の憂き目にあいながらも、詩、児童文学、小説において旺盛な活動をした。1974年没
飯吉光夫[イイヨシミツオ]
1935年、満州奉天生まれ。1959年東京大学独文科卒、1962年同大学院修了。1973年‐74年、ベルリン、パリに滞在(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スプーン
23
機微にとんだ名詩集。2019/01/17
たつや
18
なるほど、とひとつひとつ頷けましたが、今の自分にピッタリ合う症状がなかったので、効用はわかりませんが、同じ構成でキリスト編、論語編、世界の偉人編など、シリーズ化すると面白いと思いました。社会人へ、恋愛に悩む人へ、ビジネス編、スポーツ編。なんでもアリだと思います。2016/06/02
テツ
12
ケストナーは彼が創り上げた素晴らしい児童文学も大好きだけれど、彼はいわゆるナチズムが大嫌いで(ユダヤ人の血を引いていたからあたりまえなんですけど)あんなにこどもに対して優しい温かな視線を向け続けた作品からは想像も出来ないくらいの勢いで戦中延々とナチスに抵抗し続けたという反骨精神も大好き。彼の言葉からは確かに人生で躓いたときに効き目がある処方箋がバンバン出てきますね。何というか根底に揺るぎない強さがある優しさ。周囲に対する優しい視線を学べる。ケストナーの物語が好きだったら楽しく読めると思います。2016/06/29
保山ひャン
5
寺山修司が、このケストナーの本にならって、人生処方詩集を書いているのは読んでいたが、本家本元を読むのはこれが初。「自分の齢を考えて悲しくなったとき」とか「恋が破れたとき」「お金がないとき」などの用途に応じて、何ページの詩を読めばいいのかを処方してくれる。短くビシッと決める箴言のようなものから、嘆いただけで解決してくれない詩までいろいろ。でも、後者の場合も、同じ悩みで苦しんでいるのを読むことで、軽減されるのはたしか。ケストナーの面白さに、この年になって気づくとは!2016/05/29
garyou
3
最初に目次ではなくて各症状別にどのページの詩を読むといいかが掲げられているのがまずおもしろい。詩を読んでどの症状の時に読むといいのか考えてみるのもいい。効くかどうかは読んだ人次第だし、全然違う症状の時に効く詩もあるかと思う。詩集は、豪華な作りの本もいいけれど、こういう持ち歩きやすくて常に手元におけるような製本のものもいい。2022/07/31