内容説明
戦後詩を主導してきた3人の詩人、詩論家が、討議を重ねて選んだ代表詩選。未来に手渡す戦後詩の名篇がこれだ。巻末に鮎川信夫の急逝の直前に行われた記念碑的討議を収載。
目次
鮎川信夫
黒田三郎
中桐雅夫
三好豊一郎
田村隆一
北村太郎
石原吉郎
吉本隆明
木原孝
衣更着信〔ほか〕
著者等紹介
鮎川信夫[アユカワノブオ]
1920年東京生まれ。田村隆一らと「荒地」を創刊。精神の架橋工作としての戦後詩を、詩と理論の両面で体現し、以後、現代詩を主導しつづけた。86年没
大岡信[オオオカマコト]
1931年静岡県生まれ。谷川俊太郎らと「感受性の祝祭」の世代を代表する。詩人として古典文学論や美術評論をはじめ芸術全般に踏み込み、さらに国際的な連詩の試みや、「折々のうた」など幅広い活動を展開
北川透[キタガワトオル]
1935年愛知県生まれ。詩と批評誌「あんかるわ」を62年から90年まで主宰。現代詩から文学思想、政治思想に相わたる先鋭な論陣をはる。詩の現在を問いつづける詩論家として類例のない広がりと一貫性をもつ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mstr_kk
8
やっぱり硬質な戦後詩はいちばんピンと来るなあと思いました。ベストは依然、吉本隆明の「火の秋の物語」。ナラティブの複雑な操作と強烈な迫力があります。朗読したい。ほかにもすばらしい作品がたくさんありましたが、詩のわからない僕は、もっと内容に脚注をつけてくれたほうがありがたいような気もします。それにしても、詩集というものは読み終えることのできないものだ、すべて暗誦できるようになるまでは、と思いました。2016/06/01
hf
2
この本は、鮎川信夫、大岡信、北川透の3名による1986年の『現代詩読本/ 現代詩の展望』「戦後詩100選」アンソロジーを再編集したもので、解説は野沢啓。1986年のアンソロジーを受けて、1994年には、正津勉、荒川洋治、野沢啓による『現代詩手帖』6月号の特集「現代詩の99選」座談会があったとのこと。巻末の討議で、北川の”ただ当事者同士は例えば平出隆や稲川方人は荒川洋治をすごく嫌っているでしょう。それから「麒麟」の人たちも彼をほとんど評価しませんよね。”2022/10/26
ちあき
2
ここにある詩の多くは 戦争の影をひきずっている 死の観念がまつわりついている 屹立する言葉 結晶するイメージ しかし地に足のついた生活 そして何かが変質していく予感2009/03/30
呉下の阿蒙
1
孤独な泳ぎ手(衣更着信)2019/06/23
7ember
0
アンソロジーってすごくいい試みのようにみえて難しい。個人の好みが出すぎるとアクが強くなりすぎるし、公正にやろうとすると教科書っぽくなって思わず身構えてしまう感じの佇まいがでてしまうから。この本は、編者がやはり大物だけあって嫌みがないというのと、かわいらしい新書サイズというのがよい。抵抗を感じることなく、旅行カバンにいれたり、ベッドサイドに置いておいたりできると思う。「続」と二冊セットで持っておくと便利。2016/12/02
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