内容説明
旧約聖書「士師記」のサムソンとデリラの物語は、文学・美術・音楽・映画などで数多く取り上げられて有名だが、実は謎に満ちている。17世紀英国の叙事詩『失楽園』の詩人ミルトンは、この物語をギリシア悲劇の様式に倣った劇詩として創作した。そこにはかつて天下無双の怪力を誇った英雄の姿はなく、妖艶な女性の魅力に負けた結果、敵方に囚われ、視力を奪われ、労役を科せられながら過去を内省して苦闘する人間の姿が描かれている。サムソンと来訪者や合唱隊との緊迫した対話を経て最後の場面には、心の静けさを授け、激情をすべて鎮めるカタルシスがある。英国詩の古典的名作鏤骨の新訳。
著者等紹介
佐野弘子[サノヒロコ]
青山学院大学文学部英米文学科教授。イギリス・ルネサンス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ロビン
14
旧約聖書の士師記に登場する無双の怪力をもつイスラエル人サムソン。敵対するペリシテ人のデリラを愛し、彼女の執拗な追及に屈して自分の力の秘密を漏らしたために、敵と通じていたデリラによって力の源である頭髪を切られ、目を抉り取られて奴隷にされてしまう。本作は奴隷になったサムソンが、父親のマノア、デリラ、怪力の男ハラファによる誘惑を退け、祭りで建物を倒壊させて自分ともども多くのペリシテ人を殺すという自分の使命を果たすまでを描いている。サムソンは旧約の人なのでやることが怖い。サムソンの不屈さにミルトン自身を見た。2025/02/21
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