内容説明
わたしは沈黙をしるす終身書記だ。終りなき書くことの地平へ、感動と思索のたゆみない変奏とともに、詩人は紙の上に無限を刻みつけていく。モルポワ独自の抒情精神を内包した、珠玉の散文集!
目次
(不器用に生きている人間は…)
蜜蜂であること
仔猫が死んじゃったの
天使たちとの対話
驚異の感覚(夢想)
ちぎれた舌
いくつかあるゆえ不完全な…
詩的霊感について
句読法礼讃
息吹きの誕生
音楽の望み
夜行列車頌
アマリ怖ジズニ
絶対に現代的でなければならない
簡略無限辞典
著者等紹介
モルポワ,ジャン=ミシェル[モルポワ,ジャンミシェル] [Maulpoix,Jean‐Michel]
1952年フランス・ドゥー県東部の町モンベリアール生まれの詩人作家・評論家。パリ第三(ソルボンヌ)大学教授。1978年以降、数々の詩、散文作品を発表。とりわけ、散文形式の作品の中に、物語性よりも抒情性を秘めた独特の作品群がある。さまざまな詩人をとりあげた評論集は、フランスの近現代史の流れを知るうえにも、ヨーロッパの詩史全体を把握するためにも、好著となっている
綱島寿秀[ツナシマトシヒデ]
1978年東京大学文学部仏文科卒業、1999年東京都立大学独文学科博士課程単位取得退学、大妻女子大学・国際基督教大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まいかんち
1
★文学とはすべて1度はちぎれ、忍耐強く縫い合わされた舌の歌である。わたしは紙を書きこすり、そこでことばは殉死する★ 書くことで自分の気持ちがはっきりするっていうのは精神科医の人か言っているが、ずっとわだかまりがあり、この本で書くことの不可解さを述べられていて好きだった。 境界線をひくことで、失われた何かがあって、その何かは本当に必要なかったのか?私はこの本を読んで、書くことは消したり書き出したりして形どっていくものだと感じた。手からしたたり落ちていく水を何とかしてすくおうとするその行為そのものなのかも。2023/01/25