内容説明
アメリカでの不毛な生活を脱し、タンジールへやって来たダイアーと、モロッコ人タミ、レズビアンのユーニスらはいかなる運命に翻弄されたか。人間存在の言い知れぬ不安と恐怖、闇の中を手探りで進むように一寸先に待ちうけるどんでん返し、読む度ごとに発見がある伏線につぐ伏線。メイラー、カポーティと並ぶ第二次大戦後を代表する作家であり、スタイン、オーデンらと邂逅し、テネシー・ウィリアムズ、カポーティ、ブライオン・ガイシン、バロウズ、ケルアック、ティモシー・リアリーらから敬愛され、ジェインの夫であった、あのポール・ボウルズの傑作長篇。
感想・レビュー
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saeta
9
これも27年前に購入した初版本を2度目の再読。退屈なアメリカでの日常に飽きタンジールを訪れた主人公の青年ダイアーが現地の空気、時間、人々に翻弄され、果ては現地のマリファナのようなドラッグを吸引し夢か幻か次第に自身を失っていく様は、欧米人の傲慢さが垣間見えるが、読み応えがあったように思う。後半の船で訪れたモロッコ人の山間の別宅(別荘)辺りから俄然面白くなる。2021/06/11
禾原
0
何かが起こる期待を抱かせる事がないままお話は進み、そして実際に愉快な事態は何も発生しない。主人公は一大決心をして行動は起こすが、思い描く未来が訪れる事は読者にはまったく予想されず、にもかかわらず主人公はノリノリで行動を起こすのでひたすらに辛い。2012/10/19