内容説明
本書では、今日望みうる限りのランボー学の成果を取り入れるとともに、近ごろ顧みられることの少ない中原中也、小林秀雄、金子光晴の優れた訳業を再評価し、「日本のランボー」決定版を編纂した。清岡卓行、渋沢孝輔ら現代詩人のほか、粟津則雄、宇佐美斉ら研究者による精緻な訳詩とともに、編者による『地獄の季節』全篇の新訳に書き下ろしのランボー論を加えて、今なお時代の尖端に位置する詩人の精髄を極めた一冊になっている。
目次
幸福
最も高い塔の歌
飢餓の祭り
永遠
オフェリヤ
酩酊船
僕の小さな恋人たち
ジャンヌ・マリーの手
キャバレ「緑」
牧神の頭〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はやしま
23
【第54回海外作品読書会(15.1.8&9】ランボー詩訳読み比べ。読みやすい。ランボーが現代の青年になって現れたよう。中原中也、金子光晴、清岡卓行、宇佐美斉、山口佳己など他者の詩の訳、吉田健一、粟津則雄他の論説も収録されており、コンパクトながら様々なランボーを味わえる一冊。編者のランボー論も面白い。ランボーと初めて向き合う人にはぴったりの良書だと思う。2016/01/09
月
10
思潮社版ランボー詩集。編者:鈴村和成氏。訳者:中原中也、小林秀雄、村上菊一郎、金子光晴、清岡卓行、粟津則雄、渋沢孝輔、宇佐美斉、山口佳己、鈴村和成、湯浅博雄。早熟の天才ランボー、マラルメに言わせると「途轍もない通行者」であり、年若くして突然に詩を放棄した詩人。巻末のポール・ドメニー宛の書簡「見者の手紙」、そして吉田健一、粟津則雄、渋沢孝輔、中地義和の作品論・詩人論も面白い。-それゆえ詩人とは真に火を盗む者なのです。-(見者の手紙より) 2017/02/08
mstr_kk
5
読んだのが何度目になるか分かりません。 中原中也、小林秀雄から鈴村和成まで、さまざまな訳のランボーを味わえる詩集。美しい一冊で、とっつきやすさが売りだと思います。2014/05/22
荒野の狼
3
構成は、1-10章は、中原中也や小林秀雄など10人の詩人らによって訳されたもの、11章はイリュミナシオンからの抜粋、12章は地獄の季節、書簡からは”見者の手紙”、最後に解説と年譜。ランボーの詩は難解なものが多いが、金子光晴の訳した二篇はみずみずしく秀逸。作品と詩人の解説は、5つ掲載されているが、いずれも異なる視点から書かれており、詩の理解に有用だが、解説に引用されている詩が、本文に掲載されていなかったり、異なるタイトルで掲載されているなど、詩集の編集上、改訂が望まれる。2014/01/07
Goma
1
詩集は私にとって難しかったです。しかも19世紀の作家となると言葉遣いが古風で難読な部分もありました。 でもランボーさんの詩は、まるでファンタジーのように美しくワクワクした高揚感があり、約1週間で解説まで読破できました。 秋冬の肌寒い季節に暖かい部屋で読むにはピッタリな詩集でした。2021/12/21