感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
denden
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山崎哲氏の戯曲2作を収めたもの。第1話「骨の鳴るお空」は連続幼女誘拐殺人・宮崎勤の事件を元にしている。山崎氏の作品に通底する家族の分断や喪失などは同じものかもしれないが?特徴的な登場人物の「存在の希薄さ」は興味深い。主人公(事件の犯人)宮崎勤が、どうにも掴みどころがない存在として描かれているのは山崎氏の本質を見抜いた作戦であろう。末にある米沢彗氏の解説?はその点をよく理解している秀逸な一文となっている。解説に感心したのは、当方でも珍しいことだ。そこに示された『消費資本主義論』を読みたくなってきた。2015/07/30