内容説明
顔を覆いたくなるような愚劣さと陰惨さを通り抜けたあとで、どの悪意がこれほど優しく抱きしめにかかるのか。問いにはいつも答えがない―著者渾身の第一詩集。
目次
玄関先の攻防
women under the influence(96.9.12Friday Sunny;夏至を恨む;週末のおでかけ;ボンボン ボンボン スイート;戦時下の生活;今夜、すべてのメニューを;背中を見てみろ バカと書いてある;神代辰巳のナンバースリー;マッケンジーのピンク;ANTIFLOWER;MELOPHOBIA)
太陽黒点を抱擁する「ヘイ、そこのイカロス」(鬱病デートコース;耐えられない川;雨粒万歳;サンドペーパーに描かれた自画像)
“妻”、“夫”、“愛人X”そして“包帯”
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
兎乃
25
映画芸術441号と併読。安川奈緒は関西の女だなぁと唸る。あの挑発 あの愛憎 あの明晰さ。「なんで でけへんのや」と春琴のように罵倒してくれる盲目の“人形”が傍にいれば 闇の奥に棲息する自足の女として嗤う事もできたかもしれない。だとしても、この詩集に支配された週末を過ごしたのは事実で、脱出後 やっとの思いで 唸った自分がいる。2015/09/07
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6
口のなかの泥の味 額のうえの星 偶数よりも奇数のほうがきれいだということを何時間でも話そうか パリと東京は何の関係もない 坂を転がりながらでもできるバイトでもさがそうか あなたとわたしではどうにもならない 細部で救われたとしてもやっぱりバイトはしないほうがいい おびえろ 勇気を持て 隣の奴に囁け 「神代辰巳の三人目が必要だ」 (「神代辰巳のナンバースリー」)2018/03/17
sk
5
感情と機知がひしめき合う。2014/03/27
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4
詩が否応なく持ってしまう矛盾があまりに性急に生きられ、その切実な傷みが抒情となる。「存在そのものが情報公開ならば吐け」。2019/10/17
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3
「太陽黒点を抱擁する「ヘイ、そこのイカロス」」の章の詩は正直他のものと比べておもしろくないけれど、「・」でページを埋めることで、改行詩が持たざるを得ないリズムと余白を拒否しようという試み自体はかなり重要で、実際安川は本書以後にこの手法によるすぐれた詩を書いている。2018/06/02




