内容説明
孤高にして峻厳、天稟の詩的感性、鮮烈なメタファー。汀女・多佳子・鷹女ら近代女流俳句の呪縛を裁ち、存在の岸辺から、“非時”の世界の消息を告知する魂鎮めの句集。
著者等紹介
柿本多映[カキモトタエ]
1928年滋賀県生まれ。青春時代短歌に関わる。1976年赤尾兜子に師事。現在「草苑」「白燕」同人。現代俳句協会、日本ペンクラブ会員。日本現代詩歌文学館評議員。第三十五回現代俳句協会賞など受賞。大津市在住
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感想・レビュー
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pirokichi
5
柿本多映さん(1928年生)の2004年発行の第五句集。綺麗で妖しい世界。あらゆるものが地続きで境界線を行ったり来たりしているような感覚に陥る。漂う、自分のからだの一部もときに離れていくような感覚になる。〈黙読へ白朝顔の揺れどほし〉〈真葛原ことりと人を通しけり〉〈ゆくゆくは凭れてみたし霜柱〉〈前へ前へと踊りつづけて山や川〉〈人が人を拝んでゐたる秋の暮〉〈春山に手を差し入れて曇りけり〉〈喪服から大きな月の上がりけり〉〈肝試し箱にあたりて引き返す〉〈兜子閒石耕衣鬼房敏雄留守〉他の句集も読んでみたい。2020/10/01
Cell 44
2
「青鷺は右脳にたまる鳥である」「こつあげやほとにほねなきすずしさよ」「昭和長し繃帯長し鳥雲に」「空気より淋しき蝶の咀嚼音」「死ぬまでは椿のままわたしのまま」2020/10/25
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