内容説明
「何故詩を書くか」と問われて著者は「世界、すなわち言葉とたわむれたいから」と答える。「書くこと」をめぐる6篇、「ことば」をめぐる考察9篇他、さまざまな書き方論6篇を含む論考集。巻末に4氏のゲストエッセイ収録。
目次
1 詩を書く(現代詩入門問答;詩人とコスモス ほか)
2 ことばめぐり(言語から文章へ;ことばのことば ほか)
3 さまざまな試み(詩の書き方;生誕について ほか)
ゲストエッセイ(詩人の専門家(井坂洋子)
鬼を見た(伊藤比呂美)
谷川俊太郎の場所(蜂飼耳)
谷川俊太郎の「空語」白書(波瀬満子))
著者等紹介
谷川俊太郎[タニカワシュンタロウ]
1931年東京生まれ。52年処女詩集『二十億光年の孤独』刊行後、現在まで数多くの詩集、エッセイ集、絵本、童話、翻訳書があり、脚本、作詞、写真集、カセットブック、ビデオも多数手がける。53年より「櫂」同人。その詩は海外でも広く支持されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
61
詩は社会性を持たねばならない、独りよがりのものであってはならないという意味のところに共感した。詩だけではなく、文学や音楽、ひいては芸術全般に言えることなのだと思う。それを意識できるかどうかが、プロとアマの根本的な違いだろう。2019/01/14
寛生
53
【図書館】言葉の意味の深さは、詩人の生き方そのものの意味の深さである。たとえ、言葉が虚構の中にあっても、むしろ虚構が深くなることで真実につながる両義性のようなものが詩人によって現れてくる。詩人は、自分の確固としたドライなイメージがつかめず、警察に職務質問されても、自分の職業が詩人であることが、どれだけの危険性をもち、「かろうじて詩人になりかかっているというような存在」であるという。(188)その詩人は、溢れる情報の中で言葉が泡立つことにも冷静になり、自らの静けさを保ち、コトバに全身全霊を傾ける。2014/06/12
イプシロン
21
あまりに優れた本を読むと、感想を書くのに非常に困る。本著は正しくそのような著作である。全3章に纏められた内容を簡潔にまとめるなら、ⅰ詩とはなにか? なぜ詩を書くのか? ⅱ詩の骨格となる、言葉とはなにか? ⅲ実際に詩作に触れてみよう、ということになろう。こうしてまとめれば「ふーん」という声も聞こえてきそうだが、各章で問われていることは人間存在や社会を形つくる根幹となっている「言葉(言語)」についての問であるから、人間にとっては欠くべからざる問いといって過言はない。しかし、数学ようのに明快な解答など出ない。2024/12/09
双海(ふたみ)
13
ここには列挙しないけれど、名言?がたくさん。非常に示唆に富む論考の数々。久々に難しい文章を読んだらくたびれた笑 でもいい本だと思う。2022/03/04
空崎紅茶美術館
7
―なぜあなたは詩をつくるか。それはなぜあなたは生きているかに近い。著述業は数あれど、詩人ほど曖昧なものはない。単一の言葉の意味は変化しないが、それらを組み合わせて築き上げられる詩はもっと広く深い範囲にまで世界をつくる。日常での言葉では次にくる言葉を予想できるのに、詩では唐突に、でもごく当然のように意外に思われる言葉が現れる。共感できるのに、そのズレた部分に詩人が現れて、読み手を楽しませてくれる。たとえ現代詩が主題を喪失していても、始まりが言葉遊びだったように、詩は楽しいと感じていたい。2011/11/09
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