内容説明
想像を絶する災厄を前にして、あなたは、どのように生きるのか。文学が問い、応えようとしてきた営為の核心部を照らすことで、3・11の現実と正面から対峙する。鮎川信夫賞受賞以後、渾身の思いをこめて書き継がれた文芸評論の達成。
目次
第1部(カタルシスとしての親和力;共感という暴力 ほか)
第2部(受難の行方;無限世代の輪廻転生 ほか)
第3部(「信」の言葉;累積的歴史の彼方 ほか)
第4部(誘惑するサタン;暴力の根源 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ki_se_ki
3
カントは言ったという。ドストエフスキーの描く「地下室」的人物は、その「未成年状態」「非社交性」に起因する「おのれ」ばかり追求するという「満たされない欲望の虜になっているからこそ、リーザのあとを追いかけて、彼女を抱きしめたいという思いに駆られるのだ」。「そのような「非社交性」のなかに起こってくる「抵抗」こそが、人間の「社交性」を磨き上げ、「真理」へと向かわせるのだ」と。…結局こういう部分にヤラれてしまう僕は、これからも神山さんを読み続けるだろう。じっくり、じっくりと。2014/01/02