内容説明
無化された「歴史」と、しかしなお「無化」自体が頑強な歴史性として顕われている現在の狭間で、本書の「対話」は成立している。言語的交通の不全においてなお、詩作しようとしているわれわれの現在の歴史性は、やがて遠い未来から俯瞰され、整理されるだろうが、いまはそのときではない(稲川方人)。僕たちがやってきたのは、詩の間伐のようなことじゃないかと思う。間伐地を作りながら、そのときどきの現在を語ってきた。俯瞰的な詩史的展望を断念して「現在」を語るときにだけ、そこに加担してくるもの、臨在するものがある(瀬尾育生)。詩の現在に対峙した8年間の集成。
目次
人間が露わになる場所から(2002.7.6)
詩の時間をどう作るか(2002.9.22)
根源に見えるもの(2003.3.4)
公開の責任(2003.7.14)
錯乱の詩法(2003.9.29)
言語の穴―詩を書くことと消すこと(2004.1.19)
文学の虚構について(2004.4.10)
詩の人称(2004.7.19)
「世界」との関係(2004.10.9)
「悲劇の恋/歌」の場所 ゲスト守中高明(2004.11.20)
「素朴さ」にどう対峙するか ゲスト守中高明(2005.1.7)
詩は言葉で書かれる(2005.3.29)
回収されない言葉(たち)(2005.7.3)
具体性の中に立つ(2005.9.27)
「新しさ」とは何か(2006.12.6)
詩的現在をどう語るか(2009.2.23)
著者等紹介
稲川方人[イナガワマサト]
1949年生まれ。著書に詩集『2000光年のコノテーション』(現代詩花椿賞)、『聖‐歌章』(高見順賞)などがある
瀬尾育生[セオイクオ]
1948年生まれ。著書に詩集『DEEP PURPLE』(高見順賞)、『戦争詩論1910‐1945』(やまなし文学賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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