内容説明
人間いかに生きるべきかという素朴な問いを考え尽くした漱石。生そのものの不条理をするどく感受し、共苦、共感の深みから人間同士の根本的な非融和性に対峙した、その大いなる思慮を明らかにする。ドストエフスキー、フロイト、カフカなど、同時代に現れた普遍思想を見据え、近代社会、国民国家の根幹を問い直す、渾身の長篇論考。
目次
序 自己追放というモチーフ
1章 三十分間の死と存在論的転回
2章 一九一〇年、明治四十三年の大空
3章 博士問題の去就と不幸の固有性
4章 存在の不条理と淋しい明治の精神
5章 多声的構造のなかのパッション
6章 ひとりの天使と歴史という翼
7章 索漠たる曠野の方角へ
8章 浮遊する我執(エゴ)と虚栄(プライド)
著者等紹介
神山睦美[カミヤマムツミ]
1947年1月岩手県生まれ。東京大学教養学科卒。文芸評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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