内容説明
これは心臓の鼓動が聞こえてくる書物だ。舞踏の巨星、土方巽と大野一雄との対話や無名な人と物との交感が、文と文の中でカオティックに響き合い、著者はその渦に呑まれていくが、やがて、その渦中で一つの時代証言、一つの新しい思考を様々な愛憎シーンの「余白」にあぶりだしてくる。これは、カラダとことばのエロティックな契りが断章のパッチワークで力強く脈打つ書物である。
目次
幸福の書家入道
余白、あるいは、神が神の光を臨終している、物質の孤独
激変?舞踏の哲学的背景?そして“生活”―舞踏の闇
アノニマスな音と文、小杉武久『音楽のピクニック』から木鶏。山本陽子と阿部薫の死、70年代の青春
遠い人田村哲郎、FAKE、死の欠落と舞踏80年代、賢治と道元、イロニーの愛
大野‐土方の舞踏の差異、マチエールと神の椅子?幸福者、あるいは、神の侵犯者にして神の妊婦
アンドレ・ブルトンのシュルレアリスムと土方巽のブトーイズム
肉体というカオスの中の絶対的形、知られざる神との対話
睡蓮、広島デ人知レズ爆裂ス。大野一雄・慶人舞踏公演『睡蓮』同行記より
舞踏家はブトーダンサーかブトーイストか
無垢の舞踏・大野一雄舞踏公演『ラ・アルヘンチーナ頌』初演評
愛の女装者・大野一雄の舞踏に触れて
“日本舞踏フェスティバルinソウル”の16日間〔ほか〕