内容説明
ことばはどこから作品となるのか。作品はなにによって詩となるのか。豊かな詩的経験に基づいたあざやかな直観力と縦横無尽の解析力で、余白、意味、イメージ、喩、語り手、型式など詩のレトリックを、具体例をわかりやすく参照し、人名や用語の注釈も加え、実践的に解き明かす。詩の歴史的な変遷と、同時代の言語論や他の言語領域との境界線も見据えて、入門書としても、本質的原理論として味わえる北川詩学の集大成。
目次
1 レトリックの誘惑
2 余白論の試み
3 詩と散文のあいだで
4 詩作品の〈語り手〉とは―詩・短歌・俳句における〈私〉
5 詩的意味論の試み
6 未知の像―詩的比喩論の試み
7 反喩の構造―詩的仮構論の試み
8 詩的境界について
9 詩型論の試み
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
愁
3
大好きな北川透さんの詩論はいつも刺激的。「結局は感性だよな」で結論づけてしまうオレは考える事から逃げているのか?2023/04/17
岡部淳太郎
3
名著。「入門」とあるけど、ある程度詩のことがわかってからでないと手を出すべきではないと思う。ある程度わかってきた時に読めば学ぶことも多い。俺もずいぶん本書から学ばせてもらった。2005/04/27
tobusuka
2
詩的レトリックとは、詩を詩たらしめる要素とは一体なんなのか?についての本。「詩はやはりどこか少しおいしい言葉なのである」とは良い1節。わりと平易な語り口だけど内容が歴史の重みでかなりむずかしい、自分にとってはさまざまな現代詩の作者へのまさに入門、という感じだった。詩はいつのまにか意味がずるずるとずれていくという見方が面白い。2018/12/30
🦐🍴💓🥑
2
ヘビーだぁ散文詩と小説の境界についてのところは興味があったところだったし、山本陽子についての記述があったのが発見だったてか全体的に読み込みが足りなさすぎるな。長く相棒に、師匠になってくれそうな本です。2016/12/24
nana
2
詩のレトリック論としてもすばらしいが、近現代詩の歴史を記した本として秀逸。詩作に関する萩原朔太郎の悩みや西脇順三郎の試みなど、知っている詩人の話は楽しく読めた。もちろん知らない詩人もたくさん取り上げられていて、とても勉強になった。驚いたのは桑原武夫の第二芸術論の話。桑原武夫によれば、トルストイと菊池寛とを読み比べた場合、二作家の優劣はちゃんと分かるけれど、俳句の場合素人と玄人の句の区別が付きにくいらしい。俳句批判の文脈なのに、なぜこのお方は菊池寛に喧嘩売っているのだろうか……原文を読むのが恐ろしいぜ……2013/06/07
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