内容説明
いま、演出家はどこにいるのか!ベケット以後、演劇の革新者としての劇作家は死んだ。シェイクスピア劇やチェーホフ劇、あるいはピーター・ブルック、鈴木忠志、唐十郎、太田省吾など、同時代の舞台表現に立ち会いながら、演劇を演劇たらしめる歴史的形式性と葛藤する〈演出家〉という存在に新たな照明をあてる。注目の演劇論集。
目次
劇作家の死と演劇の現在
ホモセクシャルな視線―太田省吾・演出「やじるし」
鏡像のなかのスペクタクル―「夢の遊眠社」創立10周年公演
利賀村からソウルへ―鈴木忠志の現在
ユークロニア(永遠の現在)への夢―唐十郎作・演出「少女仮面」の再演
クラック(亀裂)のなかの現在―山崎哲「犯罪フィールド・ノート」
距離の悲劇―ピーター・ブルック演出「カルメンの悲劇」
模倣の多義性―演出家・蜷川幸雄
主体なきドラマツルギー―別役実作「ジョバンニの父への旅」他
リアリズムの亡霊―ハイナー・ミュラー作「戦車の道」
演劇という仮象―チェーホフ劇から韓国現代劇へ
シェイクスピア劇は古典か―「ハムレット」と「リア王」の悲劇
言葉のセノグラフィ―紅テントと下町唐座
劇的なるもの―太田省吾「劇の希望」を読んで