内容説明
現代詩手帖連載の「手帖時評」を巻頭に、鮎川信夫・吉本隆明から伊藤比呂美まで、現代詩の新たな見取図と世界への新たな回路を、緻密な論証と独異な文体で呈示する気鋭の同時代詩論集。
目次
1 道に迷うこと(背後の笑い 序にかえて;トウキョウ、不可知の雲;大地を封印すること;純粋人間たちのリング;境界の「こちら」側;箱船の散佚、方舟の漂い;「無気味さ」の女性形;世界視線と「語り手」の死)
2 路上の休日 世紀末カフェ・クルージング・マップ
3 徘徊の技法(鮎川信夫、憂鬱な二重;フォルムとしての群衆;1970年前後、あるいは清水昶;倫理的遮蔽装置)
4 出口のプラン(話法論;文字所有者たち)
感想・レビュー
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gorgeanalogue
6
「現代詩手帖」などの時評が中心となっていること、そしていかにも80年代的な「話法」もあって、戦後詩のさまざまを何も知らない者にとっては、いささか古びて感じられると同時に、納得したりもする。ブランショ、デリダ、フーコー、吉本隆明などを引用しながら最後に収められた「文字所有者たち」も同じく80年代的ロマンティシズムという感じ(「外出」という概念など)ではあるが、「みずからの意識と世界の速度との間で動く機械、すなわち文字」などというしびれるフレーズもでてくる。三浦雅士なんかよりずっと面白い。2021/02/07