内容説明
国家の掟/弔いの掟―。歴史の忘却に抗い、来たるべき民に呼びかける、記憶と情動のざわめく舞台。いま最も注目される俊英の最新長篇詩集。
目次
雪と唇
石
手紙
回想
忘却
アンティゴネー、暦のない墓
時の歌、終わりなき終わりのために
糸
血族
沈黙のためのオード
弔鐘
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
桜井夕也
2
「古い光の屑に切り裂かれた/一つの石の/古いかなしみが消える/私たちの肉体を/禁じられた不具の文字のざわめく夜へと差しむける/冬の示影針のかなしみが消える/干涸びていく/塩と時のあわいに棲むものたちの開く/不毛の空間への/さびしい信仰のようなもの/繰り延べられた夢見る根拠への/不眠の反証のようなもの/唇がある/唇がある/語りのなかで沈黙していたもの/沈黙のなかで叫んでいたもの/無数のかなしみが消える/おお、「不死なる陽根」に照らされた世界を打ち砕く/たった一つの出会いのなかで」2014/08/05