内容説明
「わたつみ」とは、私たちを取巻く時空という海の総称である、と著者はいう。そのうえで、「いま私たちはどこにいるのか、何故、いるのか」という主題を展開する。「暗喩」と「抒情」の詩人から「歴史意識」を明確にした「思想」詩人へ、著者はこの3部作で前人未踏の変革を遂げる。戦後の詩の見事な達成を鮮やかに刻印する記念碑。
目次
群青・わが黙示(群青;わが黙示)
南冥・旅の終り
わたつみ・しあわせな日日
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感想・レビュー
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きさらぎ
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昭和史をモチーフにした長編詩3部作。「群青・わが黙示」「南冥・旅の終わり」「わたつみ・しあわせな日々」を収録。「残されたことで死んだ者は死を分類することはできない これは大義の死 これは犬死になどと 決めたり裁いたりする権利はだれにもない」「だがどうしてこんなにもしばしば 愚かしさと殉教の気高さとは隣り合わせなのだろう」「死に永らえた」詩人による、許されないと思い定めた鎮魂の希求が、ひたすらな自問となり打ち寄せ漂う、そんな詩が多い。詩人の思いとは多分別のところで、色んな戦争を思い浮かべながら読んだ。2014/05/03
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