内容説明
「生」と「詩」の波打ちぎわで最後の旅の予感にふるえる言葉がある怒りと抒情、反骨と諧謔、挑戦と古典―あらゆる詩型とあらゆる詩想で「詩ってどういうの?」との問いに満身創痍の応答を試みる、戦後詩最後の、21世紀最初の問題作。
目次
渡海屋 大物浦
奥州安達原
阿古屋
吸物は
藤白
九鬼
鳥落人
妻入り
脱腸亭日乗断片―断腸亭の在りし日も遠く
impromptu
サクラエビのかきあげ
厚底ブーツの朝の歌
雨
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なかたつ
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『定型論争』後、3冊目の詩集。定型論争の集大成とも言える詩集だが、定型らしさを前面に感じることはなかった。それよりも、追悼詩、先人への敬意、過去と現在の調和と言った、飯島の詩作らしさを感じた。飯島の語りは、過去の作品から続いている特徴がある。田村隆一や小池昌代、バルザック、渋沢孝輔らと言った、飯島と縁のある人物を詩の中に書くと言う飯島らしさ。飯島はおそらく過去を記すために現在において詩を書き続けてきた。余談だが、あとがきにもあるように1953年『他人の空』から2001年のこの詩集。半世紀にも渡る詩作の記録2013/08/22