内容説明
世界をおおいつくす空虚さと疲労のなか、屹立する生への意志。未来への思いを遮断する現実の多義性をひとつの声でつらぬいた、「いま」を深い呼吸で生きる25篇。
目次
誘惑
わかりやすいトマト
山をこわしてしまう
ぼくはまだ黒い芯を昂ぶらせている
ミスキャスト
問題の彼女
ポジティヴ
予定外の年の瀬
ぼくが老人だったとき
復活〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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「今年の明るいニュースを見ている/出てくる人間がわらいすぎる」「なにかの拍子で彼女のスカートがめくれて/一方のへりが青く光っている雲のことを/ぼくは説明できなくなってしまった」「ぼくは感動しない人間だった/その罰を受ける」「(大切なのは/いまの自分を/ほんとうの自分じゃないなんて思わないこと)」「ぼくはきのう生まれたわけじゃない。」「ぼくのからだは/うるさいのだ。自由だから。」「でも、われわれは欲情をさずけられている。」「いくつもある愚かさのなかでもとくに大きい愚かさが晴れてしまった。」「ゆるされたと思う2010/07/26