出版社内容情報
時代に軋む魂への応援歌
「近藤洋太君の詩には、近代の人為に絶望した青春の、心ならずも共食いを強いられた野性のけもののような、哀切な飢渇が吐露されている」(眞鍋呉夫)。定本『水縄譚』をはじめ、『果無』までの7詩集を凝縮し、詩への原郷への軌跡を辿る。
時代への懐疑を胸に、生きた証と声を刻んだ詩と批評のドキュメント。
解説=粟津則雄、佐藤洋二郎、山本哲也、添田馨
近藤洋太[コンドウヨウタ]
著・文・その他
内容説明
決定版となる“定本 水縄譚”をはじめ、『果無』までの7詩集を凝縮し、詩の原郷への軌跡を辿る。時代への懐疑を胸に、生きた証と声を刻んだ詩と批評のドキュメント。
目次
詩集“もがく鳥”から
詩集“七十五人の帰還”から
詩集“カムイレンカイ”から
“定本 水縄譚”
詩集“筑紫恋し”から
詩集“果無”から
散文
作品論・詩人論
著者等紹介
近藤洋太[コンドウヨウタ]
1949年福岡県久留米市生まれ。中央大学商学部経営学科卒業。大学卒業間際、眞鍋呉夫の紹介で檀一雄主宰の「ポリタイア」に参加。林富士馬、古木春哉、谷崎昭男ら「日本浪曼派」ゆかりの人たちの知遇を得る。同人詩誌「翼」、「SCOPE」他に参加。現在「歴程」、「鷹」同人。添田馨らと「スタンザ」発行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たんかともま
1
小説、あるいは、随筆を書けばよいのに、と正直思った。詩というには物語に寄りすぎているような気がした。しかし、声に出すと、どこか語りかけるような、話しかけるような温度感があり、やはり、これは詩なのだなと感じた。母や自己に関する事柄から、mixiやTwitterなど現代寄りの社会についての詩まで幅広く、日常すべてを詩の素材としているような熱意を感じた。詩を通して社会に触れているといってもいいかもしれない。そして同時に講師、教師なのだなと感じた。人の話を聞きつつ、自分の考えを教えるような講義ような部分もあった。2019/11/30
経緯
1
心のふるさと、家族、友人などをめぐる生き死にのドラマ、そこから自らを見つめ直す感性といったところが印象的。水縄譚は民俗的?で何か土地がもつ不思議な力を感じる。散文の形で語られるところも面白い。でも今よんで共感めいたものを強く持つのは「もがく鳥」。詩集のタイトルの通り、もがきながら生きようとする姿があり、何となくわかる。「悪い夏」が不気味。リズムの良い詩が多い。2017/04/26
経緯
0
初期の方の詩には物語性があり、かつ詩人が深く自己の内面を見つめるようなまなざしが感じられる。それがだんだんと物語から私小説的な性格の詩になり、自己を見つめながらももっと広い視野で時代や社会のことをとらえて伝えようとするものに変わっている気がした。その上で、詩としての言葉のリズムや、構成の面白さ、言葉の分かりやすさといった点で読ませる作品が多い。前読んだときは若いころの詩の方が共感できたような気もするけれど、今回は〈定本 水縄譚〉や〈筑紫恋し〉、〈果無〉もより面白く読めた。2017/06/27