感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
18
韻文詩から散文詩へ。一時期詩を書かなくなって外タレの呼び込みとかやっていたとか。高度成長期の終末期(全盛期に思えるが)の万博がテクノロジー最後の祝祭であったという。そして排除され再出発してから実存主義的な詩からカフカまで。もともと宮沢賢治的詩のイメージがある。鉄道詩とか心象スケッチ。土地の名前はイメージとしてあるのか。コトバの詩人(言語学のヤコーブソンの詩があった)という感じで実験的な作品も。ただ大衆性を捉えた「王貞治が6番を打つ日」が面白かった。2024/05/31
寛理
0
長谷川龍生の詩の中で「ちがう人間ですよ」が知られていることは非常に良くないことだと思う。ただ、この時期の長谷川にも「天皇陵幻想」「野に咲く花ノート」のような名作はある。あと、巻末の萩原朔太郎論が良い。2021/07/12
Futta
0
「あれは、いったい誰だ。敵か味方か。あれは、いったい誰だ。あの人物が五秒まえに通過したから浅沼に隙ができた。「殺」の往復運動を、大警視庁も日本社会党も知らない。」(「殺」『泉(ファンタン)という駅』) 「その日は どこをあるいても/反革命さわぎの降ってきそうな/雪の町だった/ディオニソスの船出の気分になったが/部屋の空気がつめたかった/だから 鍵をかくしポケットに沈めて/失くしたと 言っただけだ」(「恋のボブスレー」『詩的生活』)。長谷川龍生の中年期におけるとんでもない変遷がうかがえる詩文庫。