内容説明
今日の代表的詩人を網羅し時代の言葉の可能性を最も遠くまで展望した最大かつ最高度の詩集シリーズ。既刊詩集の全て、数多くの未刊詩篇を収録。主要詩論、クリティック、エッセイなどを収録。多彩な書き下し作品論、詩人論を併録。
目次
初期未刊詩篇から
詩集〈斧の思想〉から
詩集〈水準原点〉から
詩集〈礼節〉から
詩集〈北条〉から
詩集〈足利〉から
詩集〈満月をしも〉から
〈石原吉郎句集〉から
歌集〈北鎌倉〉から
〈未刊行詩篇〉
評論・エッセイ(ペシミストの勇気について;アイヒマンの告発;賭けとPoesie;私の酒;私の青空)
詩集論・作品論(石原吉郎の死〈対談〉;初源からみる石原吉郎)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぞしま
13
後期の詩集とエセー。詩は、峻厳とか屹立とかそういうことを喚起させる厳しい言葉(もっと良い言い方はないかな)に溢れている。私には非常にリフレインの使い方に特徴があるように思えた。この辺が初期の詩とどう違っているのかも読んでみたい。「ペシミストの勇気について」は別で昔読んだけれど、ここにある孤絶(あるいは単に孤立)をどう捉えるか……と随分とそれなりに考える羽目になった。吉本×鮎川対談は批判的/冷笑的、大野新はもっと寄り添って理解しようとしているように思えたが、それにしても誰も石原吉郎には何も言えなかったのかな2017/12/28
yutaro sata
12
なぜ続を買ったのかはなぞだ。2022/07/16
misui
8
日本的というか和風を感じさせる詩が増えてくるとともに死の影が色濃くなっていく。晩年はやはり生活が破綻していたそうで、侍でも出てきそうな作風は精神の危機ゆえに必要とされたのかもしれない。この点、併録の鮎川信夫と吉本隆明の対談で言われているように嘘臭さを感じるところもあるのだけど、こうでもしないと耐えられない苦悩を思うとただひたすらに痛ましい。悲惨な体験と詩に使い潰された生とは何だったのだろうか。2014/07/05
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4
「未刊行詩篇」が良かった。2019/04/24
watershed
3
俳句がよい。街果てて鼓膜の秋となりにけり 懐手蹼(みずかき)そこにあるごとく 蝙蝠交る夜をこめ華麗に帝王切開 八月や少女の鉄のごとき腰 眼帯のうらに眼をもち野分の夜 回転木馬のひだり眼夕日をひとめぐり チェロの腰しまりて秋の情事かな 立冬や徹底的に塔立たす 葱は佳しちちはは愁ふことなかれ 短歌はリフレインが多い。刀にもし余念あらば行きたがふ女子の肌着は縦にも裂けむ 「ペシミストの勇気」は圧倒される。2019/04/11