内容説明
今日の代表的詩人を網羅し時代の言葉の可能性を最も遠くまで展望した最大かつ最高度の詩集シリーズ。既刊詩集の全て、数多くの未刊詩篇を収録。主要詩論、クリティック、エッセイなどを収録。多彩な書き下し作品論、詩人論を併録。
目次
1 戦後詩篇
2 戦中詩篇
3 近作詩篇
4 未刊行戦中詩篇
詩論・エッセイ(現代詩とは何か―序章;パチンコとゴルフと;政治嫌いの政治的感想;机竜之助小論;小猫との遊戯;偶然の目;意味への意志〈抄〉)
作品論・詩人論(鮎川信夫の根拠;鮎川信夫の詩の核心)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みねたか@
27
著者の詩集は初読。「続」を選んだのは単なる間違えなのだがそれがよかったのかよくなかったのか?感想としては、稚拙を恐れず書けば「なんかザワザワする」。胸騒ぎとも少し違う何かに駆り立てられるような感覚。解説の吉本隆明氏が、著者の詩を評して鑑賞を刺激する詩ではなく、創造を刺激する詩と書いていたので、ああそういうことかと妙に納得(もちろん創造に向かうわけではない)。巻末に掲載されていた「大菩薩峠」の評論に惹かれて、また読みたい本が増えた。2022/10/28
かふ
22
鮎川信夫を読むのならこのシリーズの『鮎川信夫詩集』に戦後詩の代表作は収められている。この頃(高度成長期に入る頃)は恋人の娘の詩がファンタジーの世界でどうしたのかと思う(「小さいマリの歌」)。その他も短いそれなりの詩が多いのだが、これはという詩は少ないように思う。付録として吉本隆明の鮎川信夫論もこの前の詩を論じているのでここには収められていない。鮎川信夫の詩は読むよりも創作欲を刺激するということなのだが。2024/10/31
∃.狂茶党
9
戦時中と戦後。 鮎川の半端に戦後に背を向ける姿勢が、若干鼻につく。 喪失感、諦め、そういったものが、呪詛として、鮎川を包んでいる。 石ころのようにあろうと、流されつつも我を守ろうとしているようにも思われる。 流れに逆らうことに、異を唱えるために、流されることを懸念して見せるのは、矛盾だろうと思う。 震災と戦争、日常に対する違和感。 失われたものへの、つながり、失われたものを引きずっての戦後。根無草。2023/01/02
sk
4
手堅い。2013/12/12
misui
3
戦後詩篇・戦中詩篇・近作詩篇・最初期詩篇の構成で作風の変遷が見渡せる。抒情詩人の性格が色濃かった初期から、戦争を経てそれに囚われた戦後、それから地獄を抱えながらも順当に枯れていく様子がわかる。日和りが見えてきたかなと油断したタイミングで「生活とか歌にちぢこまってしまわぬ/純粋で新鮮な嘘となれ/多くの国人と語って同時に/言葉なき存在となれ」(「詩法」)といった透徹した自己否定が現れるから油断ならない。2014/05/31
-
- 電子書籍
- 会社四季報 2023年3集 夏号