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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KI
32
雨が降っている。 今日見ることのできない夕焼けを思う。 明日はカステーラが食べたい。2019/10/29
瓜坊
23
尾形亀之助の詩が好きだけれど、作品数は多くないし、たいてい青空文庫で読めてしまうんですが、この本の何がいいって最後に載ってる別役実による詩集『障子のある家』についての批評がいい。尾形の詩における、意識への志向性、事象と意識の不確定な関係の中に横たわる「空洞」。尾形亀之助の独特の浮遊感は、彼が実社会を上手に渡れなかったとかそんなこと抜きにしても、言葉の並べ方だけで味わえて面白く、常に哀しい滑稽さをはらんでいる。フィルターが噛まされて世界と関係を構築できないもどかしさ。この人の雨に対する感覚がたまらなく好き。2019/10/14
おおた
21
気力・体力・生産力のない詩人ベスト1。朝の小便が悲しくなっちゃうなんてこの人だけだろう。巻末のめっちゃ喧嘩売りまくる別役実・無生産性が移ってしまった鈴木志郎康の対比も最高におもしろい。「学識」というタイトルなのに、雨降って裸で外に出れば着物は濡れないことを実証しようとする詩、電車に轢かれた石ころが葡萄のように見えるので囓って果汁を味わいたい詩(「九月の半日」)など、なまなかでない生産性のなさは、むしろ21世紀でみんな頭良くなったから書くことができないのでは。最高にアナーキーで、最高にやさしい詩。2019/10/24
新田新一
12
個性的で独創的な詩を書き続けた尾形亀之助の作品が、多く収録されています。脈絡がなくシュール過ぎて、何だこれはと感じる詩ばかりなのですが、面白いのでどんどん読みたくなります。「飛行船が低い/湯屋の煙突は動かない」「十二月の昼」という題の詩です。さっぱり分からないのですが、心が揺さぶられるのを感じます。閉塞感や虚無感、孤独感といったものが、ぼんやりと伝わる気がしました。詩を作ることに行き詰まったら、餓死を考えていたそうで、社会に全く適応していません。ただ自分自身に忠実に生きようとしたことは、詩から伝わります。2023/12/02
私的古本レヴュウ
8
哀しいくらいに 自分の生き方を 貫いた人 それは 働かないという 無為の生き方 詩人の詩集というより 一生活者の記録 働かない生活者の 遺言2020/05/17
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