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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫羊
23
実際に活躍されていた時代には不思議と縁がなかった。新川和江が好きで他の詩人にまで気が回らなかったからかもしれない。愛犬を失ったタイミングで「仔犬の墓」を読んで心がザワザワして泣きそうになった。そういうきっかけで吉原幸子が好きになった。2023/09/29
misui
9
「わたしが みえなくなり/音だけになり/いのちと 死とが つり合ふとき/わたしは はじまる」(「港の宿で」) 近代詩を思わせる素朴な筆致で存在の喜びを、その裏にある死や孤独を描きながら、詩人自身の位置はその張り詰めた拮抗の中にあるように見える。成熟の過程でそうした視点を手に入れた氏は、詩の上で幼年を生き直し、詩で人生をトレースする。やがて愛や存在よりも消滅の方向へと傾いていき、解説などではセクシャリティによるところがあるとしているが、そう簡単に受け取っていいのかは正直よくわからない。2014/12/21
遠い日
8
ひりつくことば。抉りだされる真実。大酒呑みの愛すべき詩人。好きで好きでたまらないひと。この人の詩に、ことばに、どれくらい寄り添ってもらい、どれほどいっしょに佇んでもらったか。まさに、わたしの青春だったあのころ。そんな青さと輝きが、ページの隙間に、ことばの翳に潜んでいる。2013/01/21
∃.狂茶党
6
『ガロ』に載っていた、漫画のような、個人が色濃い詩集。 三つもある解説は、(これは現代詩業界の経済的理由だろうが)詩人に焦点があるようです。 あまり社会に馴染めぬような、言葉、私的な領域から、見つめているような言葉は、内面も切り出している。 奥深いところにある、当人だけの秘密、そういったものではなく、個人的でありながら、誰にも諒解可能な感情のようなものを感じる。 詩は、口承の伝統にある言葉だ。 それを読むこと言葉を文字とし、それを読むことで、再生することが、別のものを生み出すような気がしないでもない。2022/01/17
雪野きずな
6
初恋が一番心を打った作品だ。地元の図書館に『続吉原幸子詩集』と『続続吉原幸子詩集』があるのでそちらも読みたい。2019/02/27