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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
misui
5
「世界は/傷のうえに傷がかさなつてできていて、/どれがふるいのやら/あたらしいのやら/わからない」(「飢え」) 死者の側、負けたるものの側、あるいはそれらすら超越した薄明の世界で書かれる詩は、強い否定性をともなって屹立する。尖鋭な方法意識に導かれた詩行を追っていくと、虚の叙情とでも言いたいような硬質さがあり、イメージの重層は超現実の視覚を形作る。名高い「みぞれ」の他に初期の「戦場が原」も良かった。憶えておきたい詩人。2014/07/18
gu
4
「ある鑑賞」「詩について」を読んで、厳しい人だと思った。その厳しさは言葉の快楽を妥協しないところにあるのだとも思った。勉強になる。何かを表すための言葉ではなく解体と組み立てによる言葉それ自体の表現が詩ということなのか、とても面白いことが書かれていそうだと思いつつ、やっぱり詩を読むのは難しい・・・。2017/02/12
nightU。U*)。o○O
1
彼を好むのはまったく個人的なところで、彼の文章上の特徴にぐいぐいと引きこまれているから。ねっとりと糸を引くように緊密に接合された語と語のつながりは、その内部をどっしりと構えた太い支柱が貫いており安心感がある。平仮名でさえ重みがあり、幻視的な風景をうたっていてもそうそう浮つかない、語自体が自重を持っている趣きがある。行わけどころか文字ごとに行を別け、意味に流されず、語の手触りを徹底的に追求したような姿勢に共感を覚える。2015/11/05