内容説明
〈病〉とは何か。〈死〉とは何か。病院・医療…。管理化し制度化することによりそれらの実態を隠蔽する社会。恐怖や悲しみにくもることのない眼と想像力で、〈死と病〉=〈ベーゲェット氏〉の諸相を直視し、うねるような詩語により形象化することで、それらを存在の側に奪回する。内面化されたサイバネティックスともいうべき新たな自然観を創りだし、独自な詩学を展開する。
目次
背番号化された病院の床で
最後の息がおとずれるまで
人工呼吸器で温められた身体に
今、静かなのは
夜ごと
青い闇を泳いでいるような浮遊感が
もう何度か入退院をくり返して
秋が深くなると自分の周囲ばかりが
毛のはえた真っ青の空洞のなかを
どんなにさりげなく迂回したコトバを〔ほか〕