内容説明
人間の行動のもとである認識のシステムはどのように進化してきたか。ローレンツ人間哲学への壮大な試み。
目次
認識過程としての生命
新たなシステム特性の生成
現実的存在の諸層
短期の情報獲得の諸過程
行動のテレオノミー的変異(報酬による学習=強化による条件づけは除く)
成功の応答と、報酬による訓練(強化による条件づけ)
概念的思考の基礎
人間の精神
生きたシステムとしての文化
文化の不変性を保持する諸要因〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
4
外界を眺めて鏡を知らぬ者(実在論)と鏡に見入って外界に背を向ける者(観念論)は、現実と鏡を同じ物とする「背面」を知らないと著者はいう。外界もイメージも対象を注視する点で同じであり、両者は身体と環境の関係=生態の忘却によって成立するというのだ。生物世界を確定記述するJ・モノーの客観世界に生きたプロセスを対置する本書は、その心身二元論に抗して「生理的装置」を設定し、部分と部分の加算以上に増幅し更新される生命なるシステムを遺伝子レベルから文化にまで拡大しながら、その激変が破壊を引き起こすという文明論を提起する。2017/10/18
おめるた
0
認識論。認識の仕組みを明らかにし、そこから人々を救おうとする。この偉大な野望が果たされたのかはわからない。著者は本の最後に現代に対する危惧と希望を抱いて終わる。読みごたえがあった。2010/11/20