内容説明
速度は光である。ヴィリリオは「走行光学」を提唱し、速度の光がわれわれに強いる知覚の変容を明らかにする。
目次
緒言 外観をめぐる企て
乗客の転生
偉大なる乗り物
消滅の美学
選ばれた場所から放出発射場へ
走行光学
速度の光
ネガティヴ・ホライズン
内部操縦
消滅の政治学
彼方の戦略
著者等紹介
丸岡高弘[マルオカタカヒロ]
1975年東京大学文学部仏文科卒業。1978年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1986年パリ第三大学第三課程博士。現在、南山大学外国語学部教授
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感想・レビュー
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SQT
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「女性は男性の乗り物」という衝撃的な断定から本文が始まる。。この時点で読むのやめようかと思ったけど、(確か)アーリ『モビリティーズ』に引用されていたものだったので、最後まで読んでみることにすると、大当たりだった。音韻を用いた言葉遊びや換喩が多く、読みやすいとは言い難かったが、社会を見る切り口の新鮮さはすさまじい。ヴィリリオにとっての現代社会は走行光学の体系=速度によって支配されたものであり、それは例えば交通手段やAV機器が距離を極限まで縮めて空間を圧縮し、空間の基準であった時間も失われたことである。2016/09/15