内容説明
認知科学へのハイデガー哲学のインパクトを概観し、新しい認知観の展望を拓くアンソロジー。古典的計算主義批判だけでなく、身体的主体と環境との相互作用に注目する。
目次
1 ハイデガーから認知科学へ(心をつくるか、それとも、脳のモデルをつくるか。分岐点に戻る人工知能;現存在の開示性;認知と感情―ハイデガー的アプローチ;意識の「世界内存在」と「空間性」―フッサール・ハイデガー・ギブソン)
2 世界内存在の認知科学(認知は計算でないとすれば、何だろうか;表象なしでやれるのか?;主体と環境の相互作用としての認知;理論と背景的条件)
著者等紹介
門脇俊介[カドワキシュンスケ]
1977年東京大学文学部哲学科卒業。1982年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授
信原幸弘[ノブハラユキヒロ]
1977年東京大学教養学部卒業。1983年東京大学大学院理学系研究科博士課程単位取得退学。現在、東京大学大学院総合文化研究科助教授
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gokkey
6
8章のそれぞれが独立した1つの論考となっているが、全体として大きく内容は二分される。前半はハイデガーの世界内存在からの認知科学への繋がりが紹介されるが、個人的にはギブソンの生態学的心理学へ続く流れを論じた村田氏の章に最も興味を惹かれた。後半は分析哲学から認知科学を介したハイデガー的思考への「再(?)」接触。全体の流れや特に後半部についての最近の知見はコチラ(https://bookmeter.com/books/12936734)に詳しい。2020/05/07
ヘンリー八世が馬上試合で死んだことは内緒
1
前半はハイデガーの論考を認知科学に結び付けられないかという論文で、後半は認知科学の最近のパラダイムはハイデガーに近づいていますよという論文。しばしば下手な詩と揶揄されるハイデガーだが、研究の方向性を定めることに役立っているようだ。デカルトなどの主客二分論に比べてより常識的世界像に近いのだろう。2015/10/30
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