内容説明
口頭言語、写本、印刷術、ハイパーテキスト、というメディアの変遷は、〈書くこと〉と〈読むこと〉の根本的な変容をもたらしてきた。マクルーハン、脱構築理論、人工知能研究などの視点をも包括する、新たなテキスト文化論の出現。
目次
第1部 ヴィジュアル・ライティング・スペース(新たなライティング・スペースとしてのコンピュータ;テクノロジーとしてのライティング;ライティングの要素;見ること、書くこと)
第2部 概念的なライティング・スペース(電子書籍;新しい対話;インターアクティヴなフィクション;批評理論と新しいライティング・スペース)
第3部 ライティング・スペースとしての心(人工知能;電子の記号;精神を書く;文化を書く)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あかふく
1
1991年に刊行された本書は印刷技術によって発生した文化的変容が今度は印刷が電子に変化することでどうなるかということを議論する。タイトルに「ライティング・スペース」とあるようにライティングは空間に関わるものであることが強調されてくる。そこでは確固たる書物という概念が弱まっていき、記されたテキストは簡単に変化してしまうものとなる。それは空間的にという意味で読者の参加(participation)、ある種の解釈も関わってくる(読者を part として引き込む)。2013/07/19
Kohei Ikegami
0
表現空間が変わると、表現の形や内容、読者の期待も変化する。では、電子書籍になったら表現はどう変化するの?という本。電子書籍というのはここ最近のことでなく、30年前から始まってたもので、もっといえば表現空間の変化はメディアの技術革新とともに起こりつづけてたのね。教会、パピルスロール、木版印刷、活版印刷、コンピュータ、インターネット、タブレット端末。電子書籍はこの流れの中に置いて考えると、今後の変化も予想できる!2011/11/29
ヤマニシ
0
「書き手は常に、その上に書きつけるための何らかの表面と、そのための道具を必要とする。そしてこうした材料が、ライティングの性質を決める上で意味を持つのである。」(p56)2021/07/30