内容説明
本書は、学習についての考え方に根源的でしかも重要な再考と再定式化をせまっている。人間の全体性に重きをおき、行為者、活動、さらに世界が相互構成的であるとみなすことによって、学習を事実についての知識や情報の受容とする支配的な仮説から逃れる機会を与えてくれる。
目次
正統的周辺参加
実践、人、社会的世界
産婆、仕立屋、操舵手、肉屋、断酒中のアルコール依存症者
実践共同体における正統的周辺参加
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
太鼓
9
学習は閉じこもりきった場での知識の伝達ではなく、コミュニティの中で、他者との関係の中で育んでいくものである。社会的な動物である人間にとっては学習ですら社会的なのですね。2016/06/19
shin_ash
8
正統的周辺参加って聞いたことあるぞ、と思って手に取った。やたら長い序文、短く難解な本編、またボリュームある難解な解説、比較的理解しやすい訳者後書きで構成される。兎に角これまでにない学習の概念を提案しているので、周りくどい説明が繰り返し用いられかえって難解な気がするが、言いたいのは従来の教える内容を覚えて使える様にすることを学習と呼ぶのではなく、生産的な何かを実践する共同体に参画しベテランになって行くプロセスが発生する現象を”学習“と呼び、そのプロセスは共同体をも再生産していると言うことだ。確かにこれまでに2021/12/25
もりけい
4
難解な表現でしたが、詰め込むだけの学習というイメージから、世の中の役に立つための環境に参加し振る舞いを変えていくイメージと捉えました。利己的ではなく利他的な感じ。自分のために勉強するというのは確かにつまらないものだと今ならわかります。2022/09/20
かりん
4
3:《学習は個人の頭の中の活動ではない。》久々に自分に負荷をかけた読書となった。序文、本論、解説、訳者あとがきでだいぶ語りに違いが。自分にとっては難しい論と訳の本論を、別の方々の視点から徐々に理解していった。学習は個人に内化されるものではなく、実践共同体への参加度合の増加とみる。共同体の一部となり、アイデンティティを変容する。今回は教育をテーマに読んだので、とりわけ訳者あとがきの指摘が役立った。円熟した実践の本場を当初からかいま見させる。2016/09/08
★★★★★
4
学習とは個人の内部における情報の受容ではなく、共同体内での人々の相互作用そのものだとして、「実践共同体」の概念を提唱する本。社会科学で「実践」が話題になるときには、必ず言及される一冊です。認知科学と人類学の橋渡しをする福島氏の解説も良。2010/06/07
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