内容説明
三代持続をなしとげた佐野正一の自伝。大正、昭和、平成の三代にわたり、大阪に本拠を置いて全国的に活躍して今にいたる三代の建築家。有為転変の激しい建築界ではきわめて珍しい持続力といえよう。この二種類の三大持続を可能としたのは、大正と平成、初代と三代の間に位置した佐野正一の力にちがいない。
目次
第1章 建築王佐治敬三と建築家佐野正一(サントリーのウイスキー工場とビール工場;サントリーホール誕生)
第2章 二代佐野正一の建築遍歴(生い立ち;国鉄時代 ほか)
第3章 初代安井武雄の苦闘(建築家安井武雄の誕生;安井武雄の戦時 ほか)
終章 三代佐野吉彦の継承するもの
著者等紹介
佐野正一[サノショウイチ]
1921年大阪市生まれ。1942年東京帝国大学工学部建築学科卒業。鉄道省を経て、1955年株式会社安井建築設計事務所に入所。1961年同社代表取締役社長。1989年同社代表取締役会長。2002年より同社代表取締役相談役。現在、社団法人日本建築協会名誉会長、社団法人大阪建築士事務所協会会長、社団法人日本建築士事務所協会連合会名誉会長。主な作品に、サントリー山崎蒸留所(1958、日本建築学会賞)、日本国有鉄道新幹線停車場(1964、日本建築学会賞)など
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感想・レビュー
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アメヲトコ
5
著者は安井建築設計事務所の元社長。自らの建築設計の歩みを振り返りつつ、岳父安井武雄の人生にふれ、また後継者佐野吉彦にエールを送る三代記の体裁です。冒頭部を占めるのが代表作であるサントリーホールの話で、親友であった佐治敬三や大指揮者カラヤンらとのやりとりなどの裏話がとても面白い。先代京都駅も著者国鉄勤務時代の作品。私などは晩年の姿を朧気に記憶するばかりですが、竣工時の端正な姿(京都に媚びていないのがまたよい)を見ると、この良さが当時の国鉄にちゃんと理解されていたならばと思ったりもします。2019/01/06