目次
写真
波瀾
あだ花
旅帰
猩紅熱
宵闇
友達の結婚、パツクの大臣、流産
産
間引菜
同級会
内証事
荷物
借家
おそろひ
火事
ぼつちやん
記念
チチエロオネ
岸
おはま
見合
死の家
りう子様に
お鯉さん
著者等紹介
瀧本和成[タキモトカズナリ]
立命館大学文学部教授
深町博史[フカマチヒロシ]
大谷大学文学部助教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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がらくたどん
51
<『森志げ全作品集』刊行を勝手に記念>鴎外に「悪妻」として描かれたリベンジに書いた作品数24!いくら短編中心とはいえわずか4年間での作品数に驚く。「だったら自分で書けばいい」と言われて「ならば」と書く。書いているうちに楽しくなっていったのだろう。最初は娘時代の思い出。最初の結婚。全体に心持はぼんやりしていて関心は服飾と美容に集中するがその観察力に舌を巻く。鴎外と水入らずで過ごした短い小倉時代の初々しい恥じらい。そして妊娠・出産・子どもの死。次第に架空の登場人物にままならぬ人生を嘆かせたり理想を託したり。→2022/08/16
おおにし
18
森志げは鴎外の2番目の妻であり森茉莉の母である。鴎外の小説で悪妻の評判が立ってしまった志げだが、自分のこと書いて世に訴えてみたらと夫鴎外に勧められて小説を書くようになった。志げの小説は正直あまり面白くはないが、女性らしう柔らかい文体で読みやすい。小倉時代の暮らしを回想した『波瀾』では子作りについて語り合う夫婦の会話が印象に残った。『産』『ぼっちゃん』では出産シーンの詳細な描写が当時話題になったようだ。作品集の注と解題が充実していて、明治女性の生活状況などを確認しながら作品を読めたところがよかった。2022/06/28