内容説明
思考と呼ばれる脳の機能とは一体何なのでしょうか?かつては研究の対象とすることすら難しかった「思考」。本書はその複雑なメカニズムを、気鋭の研究者である著者が、古くは有名な「フィネアス・ゲージ」の脳損傷事故からPETやfMRIなどの非侵襲的方法を用いた最新の研究成果に至るまで、様々な角度から分かりやすく解説します。
目次
第1部 思考研究の歴史と方法(「思考と脳」研究序曲―フィネアス・ゲージそしてロボトミー;思考を支える脳:前頭連合野―その構造と機能;思考の心理学的研究 ほか)
第2部 思考を支える脳メカニズム(思考とワーキングメモリー;プラニング、推論、概念、判断に関係した脳活動;思考の発達と脳)
第3部 思考と脳をめぐるトピックス(ソマティック・マーカー仮説と前頭連合野腹内側部;心の理論と脳;右脳と左脳、男の脳と女の脳 ほか)
著者等紹介
渡邊正孝[ワタナベマサタカ]
1947年愛知県に生まれる。1971年東京大学文学部心理学科卒業。1978年東京大学大学院人文科学研究科単位取得修了。東京大学文学部心理学研究室助手。東京工科大学工学部助教授を経て。(財)東京都医学研究機構・東京都神経科学総合研究所参事研究員(高次脳機能研究分野・分野長、心理学研究部門・部門長)。文学博士。首都大学東京大学院・客員教授(脳科学)、日本女子大学大学院・講師(心理学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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バナナフィッシュ。
2
前頭連合野の働きについての著作。その場所における障害(脳腫瘍・脳梗塞・ロボトミー手術・不慮の事故による)もしくは非侵襲的な方法(fMRI・PET)を用いて、前頭連合野の働きを推測している。おそらく前頭連合野のような高次な情報処理に関わる部位では、特定の部位のニューロンにおける脳活動と他の脳部位とのそれそれの相互連絡により行われる役割があるのだろう。今では特定の活動を行っている際に脳の血流量を同時に見ることができるので、沈黙の領野における更なる研究が望まれる。2014/11/29