内容説明
違法駐車、ゴミ問題、受験戦争からオゾン層破壊、地球温暖化まで―。社会の中では、自分一人得をしようとしたことが、思いがけない大問題になることがあります。これらの現象は「社会的ジレンマ」と呼ばれ、社会心理学において個人と社会をめぐる重要なテーマとして、研究が進められています。気鋭の研究者が人間社会に必然的に起こる「ジレンマ」を分析し、その解決策を提出。
目次
1 社会的ジレンマ
2 情は人のためならず
3 信じる者は救われる
4 アメとムチ
5 戦略進化のシミュレーション
6 社会的効率と社会的公正
7 出口はあるか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yamabuki
6
社会心理学における「協力」への考え方がわかりやすくまとまっている。参考文献が丁寧でおすすめです。2013/09/12
Nabe
3
個人の利益を考えると協力しないほうが得だけど、全員が協力しないと自分も損。全体としてみれば全員が協力することが一番得。そんな社会的ジレンマについて解説した本。しくみから対策まで書いてあります。興味深かったです。2014/05/01
ヨミナガラ
3
“ただここで一つ言っておきたいのは、ホッブスの議論にとって肝心な点は、公権力の目的が人々を強制的に協力させることにあるのではなく、自発的に協力したいと思っている人々の不安をとり去ることにより、そういった人々が自ら望んでいる協力行動をとることができる環境を用意することにある、という点です。”2014/04/19
yurari
1
人々が「利他的利己主義」を身につけることが必要。ガチガチの利己主義者も一方的に相手を搾取し続ける訳にはいかにいと悟るようになる●利他的利己主義者が進んで協力するような環境をつくるわ●「意図せざる結果」に基づく社会システムの成立は社会心理学では「予言の自己実現」と分析される。誰かがある期待を持って行動すると、その期待が現実のものとなること●非協力者に対しては相手になめられない断固とした態度を取る2022/02/24