出版社内容情報
上岡陽江[カミオカハルエ]
著・文・その他
ダルク女性ハウス[ダルクジョセイハウス]
著・文・その他
内容説明
どこかでひっそり、でもきっと、強く生きのびているあなたへ。薬物・アルコール依存の女性たちが、こどものころから失いつづけたものはなんなのか。この社会で生きのびるために、奪われつづけたものは、なんなのか。そしてすべてのあたしたちに、いま、ほんとうに必要なものは、なんだろう。中学生以上すべての人。
目次
「生きのびるための犯罪」とは
1 あたしたちのこと(ある日のミーティング;仲間たちの話)
2 あたしたちに必要なこと(“人権(仮)”は、ついたり消えたりする
もしも、お母さんが「死にたい」と言ったら)
著者等紹介
上岡陽江[カミオカハルエ]
1957年生まれ。ダルク女性ハウス代表。精神保健福祉士。こどものころから重度のぜんそくがあり、小学校6年から中学3年まで入院生活を送る中で処方薬依存と摂食障害に。19歳以降、アルコール依存症を併発、26歳にしてようやく回復プログラムを持つ施設「マック」につながる。1991年に友人とともに、薬物・アルコール依存をもつ女性をサポートする「ダルク女性ハウス」を設立、いまに至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
美登利
45
家庭での暴力などから、薬やアルコールに依存し、辞められなくて罪を重ねて刑務所に入ったあと、このダルクに入所する人がほとんどだと知りました。依存は病気。これは西原理恵子さんもよく言っているので知っています。しかし、特に薬物依存の患者を受け入れてくれる病院は少ないのですね。甘ったれてるからと社会から相手にされずに、負の連鎖から逃れられない人達。若い人向けに平仮名が多く、わかりやすい言葉で書かれています。困った時は相談していいんだよ、その言葉で救われる人沢山もいるのでしょう。2014/02/08
空猫
26
酒、薬物などの依存症の女性たちの保護施設の方達の体験エッセイ。話し言葉で書かれている文は易しいけれど独りよがりな表現が多く少し読みづらかった。小さい頃から虐待、育児放棄を受けてきた子は「助けて」と言えない状態である事。常識や生活の知恵が身につかない事。彼女らは犯罪にすがらないと生きられなかった事。薬物使用で懲役刑となっても、その間もその後もサポートなしの日本の現状は欧米から見たら人権侵害だという事。依存症は病気だと社会的に周知し、教育、医療、福祉機関が保護、治療に当たるべきだという事、等。2019/06/05
スノーシェルター
23
甘ったれていたわけじゃない。助けてと言えなくて依存症という病気になってしまっただけ。誰にでも起こるかもしれない。人権もなくなった、そのあとどう立ち直るか。「普通」が「特別なこと」になってしまう。普通という広場にいる人達に読んでほしい、良い一冊。2014/04/25
ネギっ子gen
22
著者は、薬物やアルコールなどの “依存症”の女性たちの回復と社会的な自立を支援する施設「ダルク女性ハウス」の上岡陽江。ヤングアダルト向けの「よりみちパン!セ(イースト・プレス版)」の一書。著名の「犯罪」には、「みち」と大きくルビ。<じつは、あたしがいちばん読んでほしいと思っているのは、なんとか生きのびたい、生きのびようとしてやってしまったことが、気がついたら「犯罪」に結びついちゃった人たちなんだ。それから、そんな親を持つこどもたちも>と。誰にも相談できなくて、毎日惨めで、投げやりになっている、あなたへ!⇒2021/01/09
みゃーこ
10
アルコール薬物依存症当事者による数少ない更生施設ダルク当事者たちによる書籍。成育歴の中での「暴力」被害は80%、また環境要因等により学力、基本的生活ノウハウ、社会性の欠如が共通として背景にある。「暴力」の被害体験により著しく「自己肯定感」が欠如していることから「生きづらさ」が人生全体を覆っていることが当事者が「ドラッグに手を出している最中に考えていること」に挙げられた心理、過度の「承認欲求」「支配欲」「虚栄心」「自己顕示欲」から発生する「しんどさ」2012/11/24