出版社内容情報
佐藤信之[サトウノブユキ]
著・文・その他
内容説明
「地方創生」にとって、鉄道とは何か?発足時には北海道全土を網羅していたJR北海道の路線だが、二〇一六年末に大部分の路線が自力での維持が困難であることが発表され、札幌都市圏以外の全路線が消滅危機に瀕している。それ以前から、新型車両開発の中止と廃車分の運行本数の減便、メンテナンスの不満による脱線事故の多発など、利用者無視の経営方針が批判を集めている。そして、それは本州の過疎地帯や四国などでも起こりうる。JR四国も単独維持困難路線を発表した。JR北海道問題を起点に、日本の交通の未来、地方政策の問題について論じる。
目次
第1章 溶けてゆくJR北海道
第2章 JR北海道と地方消滅
第3章 国鉄がつくったローカル線問題
第4章 国鉄時代の北海道の鉄道
第5章 国鉄解体とJRグループの誕生
第6章 JR北海道が輝いていた時代
第7章 JR北海道はどこで道を誤ったのか
終章 JR北海道復活への提言
著者等紹介
佐藤信之[サトウノブユキ]
1956年、東京都江戸川区生まれ。亜細亜大学講師、一般社団法人交通環境整備ネットワーク相談役・会長、NPO法人全国鉄道利用者会議(鉄道サポーターズネットワーク)顧問、公益事業学会、日本交通学会会員。専攻は交通政策論、日本産業論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おいしゃん
28
タイトルに惹かれたが、なんだこりゃという印象。「JR北海道はどこで道を誤ったのか」という肝心の章でも、延々と各路線で活躍する車両が列挙される有様で、これではまるで年表か百年史である。JR北海道の赤字は、なるべくしてなった、という時代背景だけはよくわかった。2021/09/10
hamao625
20
北海道は車がないと不便で生活もままならないというが道民の認識。今や高速道路や高規格道路が整備されている現状。鉄道の優位性はなくなっている。採算性があるのは札幌都市圏だけだろうなと率直に思う。存続してほしいと声をあげても、結局はみんなあまりJRを使わない。著者の言うとおり、公共性があるものは、上下分離を含め、いずれ国や開発局等に支援が必要になるだろう。北海道は広大で距離も長く、鉄道を整備する現場も非常に大変だと声を聞いたこともある。JR北海道がない生活は考えられない。なんとか踏ん張ってほしいと切に思う。2018/01/10
hatayan
18
JR北海道が赤字ローカル線の処理に手を焼いており、日本全国でも同じことが近い将来起こるであろうことが「地方消滅」の論説とセットで語られる場面が増えてきました。 2017年の刊行で、北海道にとどまらず全国のローカル線問題の現状をコンパクトにまとめた本として貴重な一冊です。 鉄道が栄えていた国鉄時代、希望があった分割民営化前後、鉄道に不利な道路網の整備など、途中に個別具体的な記述がやや多い感はありますが、現在のローカル線問題が起きるべきして起きたことを知ることができます。2018/10/24
Olly
8
2010年代から事故続きで経営難のJR北海道の営業範囲の見直しについてまとめる。線路1キロ当たりの輸送人数で各路線の採算性を評価。札幌周辺以外はこの輸送密度が少なく赤字。バブル時代の高金利での基金運用益で赤字補填、当時の人口と増加率を見て敷設した線路だが、現在は人口減と低金利による基金運用益の減少でどうにもならない。今は鉄道だけでなく高速バスも飛行機もある。電車の代替策として線路を道路にしたBRT、線路も走れるバスDMV、線路から一部路面電車に乗り入れるLRTを紹介。著者は電車の高速化を解決策として提案。2018/02/12
やまほら
7
利用者の減少はともかく、なぜJR北海道がレベルの低い事故や不祥事を連発する会社になってしまったのかに期待した読んだが、疑問は解消できず。著者は学者で、当事者達への取材はしていないので、当然ではあるが。後半は、列車を中心とした鉄道趣味的に歴史を追っているだけで、冗長だった。2017/12/31