出版社内容情報
熊代亨[クマシロトオル]
著・文・その他
内容説明
生活を快適にし、高度に発展した都市を成り立たせ、前時代の不自由から解放した社会通念は、同時に私たちを疎外しつつある。メンタルヘルス・健康・少子化・清潔・空間設計・コミュニケーションを軸に、令和時代ならではの「生きづらさ」を読み解く。
目次
第1章 快適な社会の新たな不自由
第2章 精神医療とマネジメントを望む社会
第3章 健康という“普遍的価値”
第4章 リスクとしての子育て、少子化という帰結
第5章 秩序としての清潔
第6章 アーキテクチャとコミュニケーション
第7章 資本主義、個人主義、社会契約
著者等紹介
熊代亨[クマシロトオル]
1975年生まれ。信州大学医学部卒業。精神科医。ブログ『シロクマの屑籠』にて現代人の社会適応やサブカルチャーについて発信し続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とくけんちょ
67
本当にタイトルのとおり、生きにくい世の中と言われる現代。なぜこんなにも柔軟さに欠けるのか、カタカナやアルファベットの病気が増えてきたのか、わかってるようでわからなかったことが本書を読むことによって、その輪郭程度ではあるが認識することができた。今の世の中は、決して悪い面だけではない。昔がいいだけでもない。何においても遊びがないのは間違いない。2020/10/15
shikashika555
55
前時代の不自由さから我々を解放してくれた、タイトルのような社会通念は同時に我々を阻害しつつある、という問題提起。 行儀よく清潔に健康にすることのできない人や不得意な人を「不審者」として警戒し、健康であることが「優位」とみなされる社会。 危険を排し 人に危害を加えないよう徹底して管理されるかのような子育て。 そこからはみ出すとたちまち生きづらくなってしまう。 複雑な気持ちで読んだ。 煙草も酔っ払いも嫌いで女で小柄である私は、この「新しい秩序」のおかげで随分楽になったのだ。 日常に脅威を感じにくくなった。2021/09/02
すしな
52
065-23.日本社会はストライクゾーンの多数のために多様性を損ねていないか?という内容です。私も健康的で清潔なほうが居心地はいいですが、健康の概念については、健康診断の数値が絶対になっていてその値に収めるために膨大な医療費をかけていますし、また子供も早い段階から社会への適用を求められ、子供らしい時期を過ごせないままに成長しないといけないとうのも、今後日本の生存戦略としてどうなのかなと思いました。特に少子化が叫ばれているご時世ですから、親ももっと気楽に育てられる空気も必要かなと。2023/06/13
なかしー
44
はじめにで「この著者を推したい」と思った。 一人の精神科医が描ける社会のラフスケッチに限界があるのを認めつつ、社会全体の変化と新旧の生きづらさの全体像を物語ろうとする試みをする一冊。 内容も、昭和生まれ田舎暮らしの著者が昭和⇒平成⇒令和の社会を回顧していき昨今の社会変動について解説。 当方もなんかもやもやする現代の不自由さを言語化する一助となった。 現在は、餅は餅屋で、専門家は下手に専門外へ的外れな発言言えなくなり、こういうリスクを取って大風呂敷を広げる稀有な著者に出会えてよかった。2024/10/16
かずぼう
37
著者は精神科医、随所に昭和と現在の比較が出てくる、『昭和時代の人々が気にも留めなかった事まで神経を使うようになり、羞恥心や罪悪感、劣等感を覚えるようになっている』確かに同意は出来る。著者は、さぞかし昭和を長く生きたのかと思えば1975年生まれ。年長者から見れば、更にギャップはあるだろう。昔はこうだったの論法は、古代まで遡る、6千年前のエジプトでも、最近の若者はと言われていたらしい。2024/08/01