出版社内容情報
中田行彦[ナカタユキヒコ]
著・文・その他
内容説明
シャープ在籍33年の著者が明かす、巨艦シャープ落日の実相。
目次
第1部 シャープ買収へ(鴻海VS産業革新機構の攻防;大荒れとなった株主総会;「DES」と「減資」という奇策;「コーポレート・ガバナンス」機能せず;「太陽電池」でも敗戦)
第2部 投資戦略で「第1の敗戦」(そもそも「液晶」とはなにか?;日の丸半導体と同じ道を;シャープの強みの源泉;「選択と集中」は正しかったのか?;仕掛けられた罠「激安液晶テレビ」;「堺工場」という巨額投資)
第3部 中国スマホで「第2の敗戦」(中国スマホで決定的敗戦;日本の液晶産業の未来;すり合わせ国際経営2.0)
著者等紹介
中田行彦[ナカタユキヒコ]
1946年、京都生まれ。1971年神戸大学大学院修了後、シャープ株式会社に入社。以降、33年間勤務。太陽電池の研究開発に約18年、液晶の研究開発に約12年関わり、液晶事業本部技師長等を歴任。その間、3年にわたり米国勤務。シャープアメリカ研究所研究部長等を務める。2004年から、立命館アジア太平洋大学の教授として「技術経営」を教育・研究。現在、立命館アジア太平洋大学大学院経営管理研究科教授(技術経営)兼同大学アジア太平洋イノベーション・マネジメント・センター(AP‐IMAC)センター長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kakoboo
17
読み始めは資本と資産を混同したり心配な部分もありましたが、読了後には「なるほど、さすがシャープで研究畑を歩んでこられた方だ」と思えるような、専門性の高さと社内熟知を感じました。新工場建設においては規模が大きすぎる、技術革新がなかったという点が問題で、スマホでは商品のモジュール化が起きて、後発の投下資本が大きい会社の方が生き残っているそうです。一モデルケースとして自社にも落とし込んでいければと思いました。2018/04/05
naobana2
15
【図書館】シャ員から大学教授になった著者。社内事情というより、一連の流れがわかりやすく書いてある感じで結論はふわっとしてた。2016/06/11
OjohmbonX
3
マツダがフォードと、日産がルノーと提携して経営者を受け入れたことで立ち直ったのと同じように、シャープもジャパンディスプレイと提携して日本連合になるより、鴻海と提携した方が良いのでは、と著者は述べているけれど現実のその後はその通りになった。内部昇格型の社長が続くとおかしくなるからたまに外のプロ経営者に変えた方がいいのかもしれない。本書は日本のメーカーの経営判断の構造的な問題を分析するというより、液晶産業の構図や時代的な変化の解説が中心だった。2018/05/05
A.Sakurai
3
シャープの業績不振の原因は堺工場に対する過度の投資だったと言われている.でもサムスンやLGだって大規模投資している.工場投資競争こそがディスプレイ企業の成否を分けてきた面がある.なぜシャープだけ投資が失敗したのか.本書でその仮説が述べられていて,堺は生産量に対する投資単価が高かったという.世界初の第10世代工場なので生産装置が完全な特注品.亀山の技術レベルから世代交代していない時期なので,技術進歩によるコストダウンの恩恵がなかった.このため規模の利点を活かせなかったのが真の原因だという.2016/06/02
さむり
3
『投資の失敗』により鴻海に買収された。 どのような投資が失敗したのかはこの本を読めばわかるが中でも勉強になったのが日本と台湾・韓国との投資の違いで日本企業は利益が出れば翌年投資を行うが赤字の年は投資を絞る「リスク回避型投資」傾向にありシャープも同様にこの投資を行っていたということ。この投資行動が台湾・韓国企業に追い越され敗戦となった。投資は本当に難しい…。この失敗を日本企業は活かして欲しい。2016/04/18