出版社内容情報
東田直樹[ヒガシダナオキ]
著・文・その他
内容説明
重度自閉症の著者が「生きる」ことの本質を鋭く、清冽な言葉でとらえた珠玉の一冊。
目次
第1章 僕と自閉症(僕と自閉症;刺すような視線 ほか)
第2章 感覚と世界(笑顔;乗り物 ほか)
第3章 他者とともに(悪い人間;涙 ほか)
第4章 考える歓び(罰;心配性 ほか)
第5章 今を生きる(人生;苦しみ ほか)
著者等紹介
東田直樹[ヒガシダナオキ]
1992年8月生まれ。会話のできない重度の自閉症者でありながら、文字盤を指差しながら言葉を発していく「文字盤ポインティング」やパソコンを利用して、援助なしでのコミュニケーションが可能。第4回、第5回「グリム童話賞」中学生以下の部大賞受賞をはじめ、受賞歴多数。2011年3月にアットマーク国際高等学校(通信制)卒業。13歳のときに執筆した書籍『自閉症の僕が跳びはねる理由』(エスコアール)において、理解されにくかった自閉症者の内面を平易な言葉で伝え、注目を浴びる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風眠
223
急に奇声を発したり、確認行動や強いこだわりがある。重度の自閉症の東田さんの姿だけを見たら、内面にこんなにも豊かな心があり、論理的な思考があるなんて誰が思うだろう。『はじめに』という本文の中で東田さんはこんなふうに書いている。「僕がエッセイの中で伝えたかったのは、その人にしか分からない世界があるということです。物事は少し見方を変えれば、全く違った捉え方ができるのではないでしょうか。」簡潔で、それでいて物事の本質を鋭く言い当てている文章。こんなにも当たり前の事に、どうして気付けなかったのかと考えさせられた。2015/02/06
s-kozy
113
人との会話ができない(挨拶すら難しいらしい)重度の自閉症の青年によるエッセイ。著者は現在、22歳とのこと。自閉症の物の見え方や感じ方、ある物事にこだわる理由などが分かりやすい文章で綴られている。五章からなり章の間には四編の著者へのインタビューがあり、これが本人の世界を理解する一助になっている。自閉症という障害をより理解したいと思っている全ての人に自信を持ってお勧めできる一冊です。私もより深く理解したいので近いうちに再読します。2014/10/18
あん
96
私には到底書くことの出来ない、表現力や自由な発想が溢れる文章です。自閉症に対する世間の間違った認識や、東田さんの葛藤が、文章の端々から伝わってきます。自閉症の方々の行動についてきちっと説明されているので、理解する一歩にはなるはずですし、怖がって理解しようとしていなかった自分が恥ずかしくなります。読んでよかった、良書です。2015/03/12
chimako
94
この素直な心のつぶやきに気持ちを動かされる。言葉を持たないのではなく、言葉を発することがとても難しく苦手な東田さんの的確な表現に驚く。質疑応答が旨くできる理由についても関心する。笑顔が作れない(笑顔になれない)と言う東田さんだが表紙のキミはいい感じです。これは、読み聞かせしたい。 [インタビュー箇所の記述について] 「………だそうだ」と言い切らず「……だそう」という言い方は流行りのようだが、違和感がある。質問の答が素晴らしいのにとても残念だった。2015/06/15
アナーキー靴下
93
東田直樹さんの本は3冊目だけれど、いつもいつも彼の言葉は私の心に真っ直ぐ届き、不思議と素直に受け入れられる。私ももういい歳だし、もっと大人でありたいと思うけれども、あまのじゃくでネガティブ思考の他力本願を是とした時期が長すぎて、未だにひねくれてるなと自覚することが多い。損なのはわかってる、でも自分を一人ぼっちにしたら可哀想じゃないか、って気持ちが未だに抜けきらないのだと思う。東田さんの言葉は、そんな私を一人ぼっちにしない。「人がどんな時も前向きでいたいと願っているということです」今の私も昔の私も同意する。2021/07/08