出版社内容情報
佐藤弘[サトウヒロシ]
著・文・その他
内容説明
青空、太陽、ステージ、楽器、森の濃い緑、風、テント、雨、レインコート、酒、ダンス、男と女、音楽―ロックフェスティバルの広大な空間と、そこに流れる濃密な時間をまるごと活写。掴みきれない“瞬間”をそれでも言葉で掴みとる、「夏フェス」小説。
著者等紹介
佐藤弘[サトウヒロシ]
1980年東京都生まれ。日大芸術学部卒業。2004年「真空が流れる」で第36回新潮新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kebabpapa
1
いまや夏の風物詩となっている野外ロックフェスに参加した若い男女の2日間。なにか特別なことが起こるわけでもなく、男女のドラマチックな恋愛が描かれるわけでもない。だけど、特筆すべきは、そこに描かれている音楽体験。文章で音を浴びているかのような流れるような言葉の連なりは、言霊ならず、音霊を感じずにはいられない。若者文化の単なる風俗小説ではなく、太古から存在する音楽による「祝祭の場」を小説という形式で表現した、貴重な作品。2014/10/08
ともなりたすく
1
行ったことはないけど、なんとなくこんなものだろうとは知っている夏フェス(他の人が言うようにモデルはフジロックだと思うので)。曲の盛り上がりの合間の、少し現実に近いところの、けれど日常からは切り離された空間で、だらだらと、…ちがうか、もやもやとしてる大学生の物語。2013/07/30
Yoko Oshibe
1
夏フェスの昂揚感、なぜか感じる切なさ、そしてライブの「音」が「言葉」で切り取られていて胸に迫る。フェス行きたいよー!2013/05/22
spica☆
1
ロックフェスティバルの広大な空間と、そこに流れる濃密な時間をまるごと活写。 掴みきれない”瞬間”をそれでも言葉で掴み取る「夏フェス」小説。 まさにそんな感じ。大きな夏フェスは未体験なんですが、きっとこんな感じなんだろうなぁってのがすごく伝わってきました。 2012/12/15
クローカ
1
小説。(明らかにフジロックをモデルにした)ロックフェスを扱ったもの。ですが俺の知ってるフジロックとは違う、というのはまあいいとして(『スシロック』らしいですしね)その中で描かれる大学生のモラトリアム的なもにゃもにゃ煮え切らないものが心の底からどうでも良かったな、と。劇中での音楽の扱いも含めて自分とは価値観が違うなと感じました。自分にとっての夏フェスは大きなライブハウスでいいんだな、という思いを与えてくれた作品です。2012/08/24