出版社内容情報
ルソー[ルソー]
著・文・その他
内容説明
18世紀フランス。すべては神に定められており、神は国王を使者として人々を支配するという「王権神授説」により、階級社会が形成されていた。このような不平等が成立する社会を改革すべく、ルソーは人間の教育に着目する。人間本来の善性を肯定し、教育のあり方の理想を追い求める、今なお教育を志す者のバイブルとして読み継がれる思想書を漫画化。
目次
プロローグ
乳児期
幼児・児童期
少年期
青年期
成人
エピローグ
著者等紹介
ルソー[ルソー]
1712~1778。ジャン=ジャック・ルソー。スイス出身の哲学者・教育思想家。音楽家を志してパリに移り住み、懸賞論文に応募した『学問芸術論』の入選をきっかけに、思想家としての地位を築き上げる。自由民権運動に多大な影響を与え、人民主権の概念を提唱した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
33 kouch
35
人間育成シミュレーション。「エミール」の育つ環境に少し手を加えることにより理想の人間像に仕立ててゆく。善性と自発性、耐性がポイントか。世俗と完全に絶たずに適度に距離を起き、身分社会や格差の不から遠ざけるのはこの時代ならではか。一方で、宗教については決してキリスト教を説くわけでなく、もっと根源的な神とは何かから教えるところもこの時代にしては画期的。思春期で理想像ソフィーを一緒に探しに旅に出るところは少し引いてしまう。それこそ一人で突き放すべきところだろって突っ込んでしまう。2024/12/31
ルート
30
「足るを知る」ための本かな。人は人間と事物と自然によって教育される。不幸はものを持たないことにあるのでなく、それを感じさせる欲望のなかにある。子どもにはいろいろ体験させて実感させる。エミールからソフィへ、「僕の心は決して変わりません。だからあなたも変わらない心をもっていてください」結局どの時代でも、溢れるところには欲が溢れているんだな。「現代における教育論」というのは、どの時代でも常に求められている。2019/02/25
みーなんきー
25
人間の教育のためには、まずは社会から隔離し自然の中で、生来持っている力を開花させる。その時に先走って知恵を与えず、自ら学んで自立する事を応援する。ある時が来たら社会との接触を許し、今度は悪人がいることを学ばせる。その時にも、酷い目にあうまで本人に体験させ、学ばせる。現在の日本に横行する、マニュアルに従ってミスの無い子育てをしようとする流れに問題がある、という事がよくわかる一冊です。2019/01/21
荒野の狼
23
ルソーの思想の概要を知るために本書を購入。原作は文庫本で3冊にも及ぶ大著であるので、二の足を踏むが本書は数時間で読破可能。内容はルソーが貴族から赤ん坊エミールを預かり成人するまで育てる話。本書はルソーは理解のある先生として登場するが、漫画としての魅力は、時には悩みながらも素直に育っていくエミールで、理想の女性ソフィーに出逢えたあたりでは、恋を応援したくなるような展開。教育論という堅い内容が、少年エミールの成長物語として楽しく読める。2017/09/03
ラテちゃん
23
本当は翻訳本を読もうと思ったのだけどきっと挫折するので手っ取り早く漫画で読んでみました。当時のフランスの時勢を反映している部分つまり反面教師的な部分もあるのだが全般的にいつの時代にも通じる教育論だ。特に現代の日本の早期英才教育的な考え方にも警鐘を鳴らすような内容。目先の天才児教育ではなく、トータルな視野で見た人生の幸せを子供と一緒に育むことが教育。教育の素晴らしさとともに勘違い教育の恐ろしさも感じた。2015/03/06