内容説明
女が詠んだ俳句ではなく、女を詠んだ俳句たち。「女」が時代によってどう詠まれたか、あるいは男によって女によって「女」はどう詠まれたか、「女」の栄光と悲惨まで、さまざまな女が登場する。「女」であることの自由さと不自由さ、社会通念のなかに押し込まれてあえぐ女、そんなものを蹴飛ばしてみせる女だっている。本著をとおして人間はいかに「女らしさ」「男らしさ」という概念にがんじがらめになっているか、そんな意識を浮き彫りにする。「らしさ」からの自由を手にいれて俳句をもう一度読み直して行こう!
目次
少女
乳房
姉妹
ファッション
仕事
髪
結婚
化粧
老い
友
キャラクター
妻
雛
水着
母
正月
名前
産む
言葉
家事
肉体
育児
恋愛
遊び
女
著者等紹介
神野紗希[コウノサキ]
俳人。1983年、愛媛県松山市生。第1回芝不器男俳句新人賞坪内稔典奨励賞受賞。著書に『日めくり子規・漱石 俳句でめぐる365日』(愛媛新聞社・第34回愛媛出版文化賞大賞)ほか。お茶の水女子大学大学院博士後期課程修了。現代俳句協会青年部長。明治大学・聖心女子大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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双海(ふたみ)
15
女性俳人が詠んだ俳句ではなく、俳人(男女問わず)が女性を詠んだ句をテーマ別に採録した本。テーマは、少女・姉妹・髪・結婚・乳房・化粧・正月・育児などなど。とくに愛妻俳句がよかった。私も結婚したら妻を褒め称える句を作ることになるだろう(そんな予感がする)。2020/01/20
豆ぐみ
4
面白かったです!ふらんす堂通信に連載された、女について詠まれた俳句。25項目あり、かわいい挿絵と読みやすい文体で沢山の俳句とその解説を読める。うんうんと頷きながら読み終えると、私も固定観念には気をつけなくっちゃ、「女らしさ」からは自由な俳句を詠みたい、と思う。2020/01/21
yumicomachi
3
「女が詠んだ俳句」ではなく「女を詠んだ俳句」を「恋愛」「結婚」「仕事」といった人生のステージや「少女」「老い」といった世代的な区切り、「乳房」「髪」などの身体的なキーワード、さらには「化粧」「ファッション」「遊び」など、女をさまざまな視点から切り取ったテーマごとに鑑賞・考察している。「ふらんす堂通信」に2012年から2018年まで連載されたものに加筆修正して2019年10月に発行された。連載中に結婚し出産したという著者の自己と向き合い句と向き合う姿勢が好ましい。著者の俳句も今日マチ子の表紙絵と装画もいい。2020/09/29
せっか
2
「女が詠んだ俳句」ではなく「女を詠んだ俳句」。「少女」「乳房」「姉妹」等25のテーマにそれぞれ20句ほどをあげ鑑賞。時に統計や自分の体験をからめ、世間の男女観を示してくれる。俳句の鑑賞の仕方とともに様々な女性が描かれている。2020/12/16
新橋九段
1
ワンテーマでこれだけの句を一覧すると色々と発見がある。選句も年代から背景まで広く、「女の俳句」と区切られているものの近代の俳句の歴史を追っていくかのような感覚もあった。2025/04/27