出版社内容情報
◆十七音への果敢なる挑戦
菖蒲湯の沸くほどに澄みわたりけり
この句は、間違いなく狩行…◆十七音への果敢なる挑戦
菖蒲湯の沸くほどに澄みわたりけり
この句は、間違いなく狩行の代表作のひとつである。浴槽に張った水はもちろん透明な美しい水であるが、それが熱せられるとともに変化が現れたというのだ。感覚的な把握かもしれないが、「沸くほどに澄みわたり」という断定には動かしがたい説得力がある。ふだんより少し熱めに沸いた湯かもしれない。新湯の鋭さを思わせ、青い菖蒲を浮かべれば、まさに切れそうな刃のようだ。好みの温度設定をした給湯設備で供給される湯では、水との違いを目で見て感じることなどないであろう「澄み」である。
片山由美子[]
著・文・その他
鷹羽狩行[]
著・文・その他
目次
鷹羽狩行の百句
鷹羽狩行と俳句の時代
著者等紹介
片山由美子[カタヤマユミコ]
昭和27年7月17日、千葉県生まれ。同54年、鷹羽狩行の指導を受け作句を始める。翌年「狩」入会。平成2年、第5回俳句研究賞、同19年、『俳句を読むということ』(平18)で俳人協会評論賞、同25年、句集『香雨』(平24)で俳人協会賞を受賞。同30年12月、「狩」終刊に伴い「香雨」創刊・主宰。「香雨」主宰。俳人協会常務理事。日本文藝家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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豆ぐみ
2
見開きで右ページに俳句、左ページに短い解説のシリーズ。このシリーズは俳句万年初心者の自分にはほんとにありがたい。鷹羽狩行も著者の片山由美子も自分には師。狩行先生の句は好きだなあと思うし、由美子先生の解説は勉強になる。2019/02/03
糸くず
0
「俳句にとって対象を見るということは、認識することであり、言葉を発見すること」(p.133)天性の詩人は日常の何気ない景色や物事をひたすらに見つめることで、誰も見たことがない新たな風景やイメージを発見・創造することができる。ただただ感嘆する他ない。特に70歳を超えてからの充実ぶりには驚かされる。弟子だった著者の解説は簡潔でわかりやすく、狩行の俳句の新しさや表現の巧みさを的確に評している。俳句に興味のある人はとにかく読むべし。2023/09/02