目次
1 光(光;「白」)
2 土(犬のセブン;オカリナ ほか)
3 風(風;火 ほか)
4 水(森;冷たい虎 ほか)
著者等紹介
藤田千鶴[フジタチズル]
1964年大阪府生まれ。関西外国語短期大学米英語学科卒。歌誌「塔」編集委員。現代歌人協会、現代歌人集会、大阪歌人クラブ会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kaoru Murata
3
藤田さんは誠実で真面目な方である。「塔」の事務作業もそつなくこなしているに違いない。そんな藤田さんが綴る童話と短歌。清々しくも、ちょっと切ない気持になった。/こぼれくる光の網の目のようにゆるくつながる遠いあなたと/まばたきの間に欠けてゆくものはまばたきの間にまた満ちており/夏のよる鍋の底からひとつぶの気泡ふわりと離れゆきたり/あんなにも賑やかだった家なのに死んでゆく人閉じられる窓/涼しくて暗いひととき過ぎゆきてあなたは橋であったと思う/橋脚が踏みしめている川底に深きわが手の触れることなし2015/08/08
かみしの
0
〈ゆうぐれの水に映ったあかね雲 既視感のない空に会いたい〉〈合歓の木がゆっさり揺れて雨を呼ぶ夏は静かに畳まれてゆく〉〈ゆうぐれが来ませんようにと願いたりこういこういと鯉を呼ぶ背に〉〈白くまの薄汚れているあの感じ貨車のひとつに雪は残りて〉差し込まれた童話と帯の言葉にひっぱられた解釈かもしれないが、過去志向の歌が多い気がした。いま・ここではなく、あの日・あの場所を歌うことで、懐かしい情景が思い浮かびあがらせる。がつんとはこない歌集だけれど、優しかった。2014/08/28
-
- 洋書
- Just Be