目次
第1章 秘めた気持ちが疼いて(十六歳の少年の顔―思ひ出の自画像(大手拓次)
月夜の浜辺(中原中也)
君が花(石川啄木) ほか)
第2章 皮膚の熱は隠せない(恋を恋する人(萩原朔太郎)
なぜぼくの手が(鮎川信夫)
合唱(吉増剛造) ほか)
第3章 傷跡は見えないところに刻まれる(ココアのひと匙(石川啄木)
君に(村山槐多)
兄弟(北原白秋) ほか)
著者等紹介
川口晴美[カワグチハルミ]
1962年福井県小浜市生まれ、早稲田大学第一文学部卒業。1985年に最初の詩集『水姫』(書肆山田)。2009年刊行の詩集『半島の地図』(思潮社)で第10回山本健吉文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こばまり
45
長らく相性の良くなかった詩と私の関係性であるが、思い切って強い酒を呷ってみたら意外に美味しく飲めただけでなく、いい感じに酔えた。また、強い酒は呷ることなく舌に乗せ、口中にて転がしゆったりと味わうべきとも気付いたのだった。2023/03/12
かさお
31
表紙は今風だけど、中身は昭和。全編通して感じた事。今と違い、直接会う、触れる事でしか繋がれない分、焦がれる感情の密度が濃い。娯楽も少ないので、ただ、その人と自然の中で一緒に過ごす事が、途轍もなく貴重で尊い事が伝わる。編者曰く、詩は意味を追わなくていい、わからない=つまらない、ではないから。頭で理解する事を飛び越えて抗えない魅力を感じる=萌え。なるほど、思春期の頃、中原中也の「汚れちまった悲しみに」にハートを射抜かれた。あの時の感情も「萌え」だったのかもしれない。2021/05/04
ロア
21
編者の川口晴美さんによる「詩の読み方、楽しみ方」の解説がとても良かったです。詩をどう読めばいいのかよく分からないって人にぜひ読んでもらいたいな。国語の授業のような、想定された正解をあてるための読み方なんかしなくてよくって、意味は分かんなけどなんかカッコイイ、どきどきする、そんなふうに自分の感覚領域を広げてくれる言葉との出会いが大正解なのです。2021/01/12
ロア
19
詩の言葉の不思議な力。それは、自由な言葉の動きから生まれる感覚を楽しむうちに、感情を揺さぶられたり、見たことのないイメージが思い浮かんだり。。。詩の言葉が自分の内に残す体験や、理屈ではない何かが心を刺激し、活性化させられてしまう瞬間など、頭での理解を飛び越えて抗えない魅力を感じる言葉が生き生きと存在し始めること。言葉のなかで、詩の向こうで、書き手と読み手はそっと手をつなぎ、鼓動を重ねるのです(川口晴美さんの解説の自分メモより)(*´ω`*)そういうどきどきした気持ちを「萌詩」と表現しているんだね。2021/01/17
くさてる
15
「萌詩アンソロジー」という惹句からはミーハーなものを連想してしまうかもしれませんが、内容はどれも玉ぞろいの美しい詩を集めたアンソロジーでした。有名作から(私は)初めて知った作品までいろいろな詩人の作品が楽しめます。「萌える」ということが自由に想像する、胸をときめかせるということならば、まさにこれは「萌詩」です。ただ、惜しいのは作品についての解題はありましたが、それぞれの詩人についての解説が無いことです。アンソロジーから読書の輪が広がる為には、そういう親切があればいいと思います。2015/04/10