内容説明
目つむりていても吾を統ぶ五月の鷹。五月に誕生し、五月を帰りゆく故郷とした天性天与の才能。己がことばにぬり込めた燦々たる詩篇の輝き。比類なき青春の香気。われに五月を。空に本。はだしの恋唄。血と麦。“金字塔”田園に死す。地獄篇。“遺稿”懐かしのわが家。その詩的疾走の軌跡を辿る。
目次
花粉航海(全)
われに五月を
わが金枝篇
未刊句集=わが高校時代の犯罪
初期句篇
田園に死す(全)
初期歌篇
空には本
血と麦
テーブルの上の荒野
地獄篇(全)
ラインの黄金(全)
詩篇
未刊詩集=書見機
叙情詩篇
マザー・グース(抄)
堕ちた天使
レーナの死
火について
泥棒のタンゴ
ジョーカー・ジョー
ケ・セラセラ
二万四千回のキッス
かくれんぼ
かもめ
壜の中の鳥
消しゴム
踊りたいけど踊れない
かくれんぼの塔
イエスタデイ
死のジャンケン
自分だけのもの
世界は日を待っている
壁ごしのアフリカ
Dig
少年のための「Home Again Blues」入門
ベッドからの正しい出かた
墓場まで何マイル?(絶筆)
懐かしのわが家(遺稿)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
7
俳句、そして短歌から寺山の創作が始まったことは、寺山修司という稀有な作家を生み出すにおいて、とても意味のあることだったように思う。短歌という極端に短い定型の中で、寺山のイマジネーションはふつふつと熟成し、誰も見たことのない姿へと成長していく。その過程が、この著作集の1巻を読むと実感させられる。定型から解き放たれ、溢れ出すイマジネーションは、詩から童話、小説へと広がり、やがて活字という静的なものから映画や演劇という動的なものへと飛躍していくのだ。2010/01/23
王天上
3
とりあえず詩と童話だけ読んだ。しっとりとした暗さに包まれていて、昭和40年代の空気を感じる。これを平成の空気に入れ替えてみようと画策している。2013/04/24